KENWOODと日産から面白い製品が販売されます。日産の電気自動車のバッテリーを再利用したポータブルバッテリーです。
面白い発想です。蓄電容量も出力電流も輪番停電中に冷蔵庫を余裕で維持できる能力があります(ピークパワーを除く)。大規模災害時にスマホやタブレットを充電するなら週単位で運用できるでしょう。
一方で気になることがあります。
- バッテリー管理
- 火災
- 廃棄インフラとその費用
- 充電方法
民生品のLiIONバッテリーの管理の甘さは嫌と言うほど見ています。電池が膨張して携帯電話、タブレット、コンピュータが使えなくなる写真はこのブログの読者も見たことがあるでしょう。KENWOODはポータブルバッテリーの開発経験があるのでさすがにそういうことはないと信じたいですが、18万円のバッテリーが買って1年後に過充電でお釈迦になっるのではたまりません。
火災についても同じです。災害時に役に立つものである一方、内部にためているエネルギーはとてつもない量です。災害時にこれが火元になるようでは困ります。
さらに心配なのが廃棄インフラです。KENWOODは自社が販売したポータブルバッテリーの廃棄について公式に「知らん」と言っています。
リチウムイオンバッテリーの廃棄が社会問題になりつつあるのはご存じのとおりです。廃棄場での火事は増えつつあり、自治体や販売店が引き取りを拒否する例もあります。そのうちいらなくなったバッテリーを山林に捨てる不届き者が出てくることでしょう。
そして何より充電方法です。記事を読む限り、充電方法はACアダプタを前面から挿す方法のみです。個人的にACアダプタを使う製品は好きになれません。こういう大電力を扱う製品の電源は安全な筐体内に囲ってほしいものです*1。
見れば見るほど日産の倉庫に山積みになっている使用済み電池の処分を消費者と社会に押し付けるための製品に見えてきます。今後の情報次第ではありますが、今の段階では
「これはいい。災害の備えになる」
とは言い難い製品です。筋肉質の人が電気にモノを言わせたアウトドア・レジャーを楽しむための製品なのかもしれません。
*1:日本の住宅事情を考えれば、冷蔵庫並みにほこりに強い製品でないと、連続使用は怖い