アンドロメダ座の大星雲の中にM31-V1と名付けられた星があります。
宇宙の広さについて激論が交わされていた時代、「アンドロメダ座の星雲も我々が住む天の川銀河の中の天体に過ぎない」という仮説が根強く支持されていました。天の川銀河こそがこの宇宙そのものだと考えれていた時代です。
そのころ、エドウィン・ハッブルはウィルソン山の2.5m大望遠鏡でアンドロメダ座の中に変光星を見つけます。
のちにM31-V1と名付けられた星は明るさが変動する周期とその絶対的な明るさの間に厳密な関係があるタイプの星だと判明します。セファイド型変光星と呼ばれるこのタイプの星は、
- 変光周期を測定する
- 絶対光度を計算する
- 見かけの光度を測定する
- 見かけの光度と絶対光度の比から距離を算出する
という手順を踏むことで、我々からの距離を計算することができます。
エドウィン・ハッブルはこの手法を用い、アンドロメダ座の大星雲が天の川銀河の遥外にあることを証明しました。
その人類の宇宙観を変えた星であるM31-V1を自分の望遠鏡で観測、測定した人の話。
肉眼で見える星は6等星までと言われています。M31-V1は平均18.5等星だそうで相当大きな望遠鏡を使わなければなりません。口径は書いていませんが、いずれにせよほど空が暗い場所の話でしょう。
驚くほどのことではありませんが、ハッブル宇宙望遠鏡はエドウィン・ハッブルの発見へ敬意を表してこの変光星を観測しています。
むしろ驚くべきは、アメリカが「エドウィン・ハッブルがガラス乾板から自ら作ったコピー」を、スペースシャトルによるハッブル宇宙望遠鏡のサービスミッションに同乗させたことでしょう。
アメリカ人はこういうことが好きですね。