James Webb宇宙望遠鏡の意義

打ち上げ日*1が近づいてきたJames Webb宇宙望遠鏡(JWST)に関して、NASAがいろいろな進捗を出すようになってきました。それに加えて、JWSTがもたらすもの、その意義といった一般向けの天文情報も紹介されています。

 

Hubble宇宙望遠鏡の2倍以上、パロマ天文台の望遠鏡よりも大きな主鏡直径を持つJWSTは、高感度赤外線観測に特化した宇宙望遠鏡でありHubbleや地上の大望遠鏡、高分解能の電波望遠鏡では探ることのできない領域の観測を目指しています。

この望遠鏡はその目的のため、月よりもはるか遠い軌道に投入されます。

HSTはそのミッション期間中にスペースシャトルによる点検・整備を行うことを考慮して設計されました。Hubbleはそれ以前の観測機器に比べて桁外れに高価でしたので、寿命を長くするためにそのような設計がされたことにはうなづけます。

一方、JWSTは地球や月が発する赤外線雑音を嫌って、月よりも遠い軌道に投入されます。この領域には人類はまだ足を踏み入れていません。ですのでJWSTに対してその寿命中に人間が点検・整備を行うことは考えられていません。

HSTよりも高額な望遠鏡ですが、HSTよりも運用期間は短くなると考えられています。

アメリカといえどもそんな高額なミッションをバンバン実行できるわけではありません。HST自体もその提案時期に議会から廃案にされる憂き目にあったことがあります。NASAアメリカの科学者はこういったプロジェクトを支えるために、とてつもない努力をしていますが、そのなかに、一般向けの啓蒙があります。

最近だと

これらのページでは、JWSTが迫ろうとしている宇宙の謎、それらの謎は今どの位わかっているのか、それらの謎を解き明かすことで我々は何を得るのか、なぜJWSTでなければだめなのか、と言ったことが平易に語られています。

言うまでもなく、NASAは膨大な予算を消費する組織です。科学界の他の分野からの批判も大きいですし、JWST自体が金食い虫なのでNASA内部や天文学の別分野からも多くの批判を受けています。そういった批判を跳ね返し、胸を張って意義を主張する一方で納税者に対して「あなたの税金はこんな素晴らしいことに使われることになる」と示す態度には、見倣うべきものがあります。

JWSTの遅延は実に10年もの長きになりました。この望遠鏡を待っていた科学者の中には、そのキャリアの一番おいしい時期を逃した人もいるのではないかと思います。そう考えるとなかなか複雑ですが、JWSTがこれから何を明らかにするのか、楽しみにしています。

*1:2021/Oct/31