じっくり読みたい

科学史、というより本をめぐる冒険譚とも、あるいはミステリーとも読める本です。
コペルニクスが太陽中心の地動説を世に問うた「回転について」にびっしりと書き込みがあったことから、作者は世界中に散らばった初版と第二版の行方を丹念に追跡し、それらの書き込みを調べていきます。
その結果ケプラーやブラーエ、ガリレイといった科学者がコペルニクスに受けた影響などが明らかになる過程が丹念に描かれます。そういった科学史的な話のほか、一冊の本をめぐって展開された物語が幾つも登場し、天文学に興味がなくても本好きなら楽しめる内容です。
後半には窃盗の話や、科学史的に有意義でも骨董的に価値が落ちる修復本など、興味深い話がたくさん納められています。

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