遠く離れて

ボストンから向かう道すがら、Sagamore橋を渡って6号線に乗り、Exit 6で降りて給油しました。スタンドはフルサービスのみでセルフはありません。
給油の後、お金を渡すとスタンドの従業員が話しかけてきました
"Are you Japanese?"
"Yes."
"Do you live here, or traveling?"
"I am staying in Boston, for business. 6 months"
なんでこんな話、と思ったとたん
「おはようございます」
と、その浅黒い顔の従業員がにっこり笑いました。こっちは不意を付かれてびっくり仰天です。
「おはようございます」
「ここに住んでいますか?」
と、さっきと同じ質問。しかし日本語です。
「ええ、仕事で6ヶ月住んでいます」
「そうですか、私は日本に8年間いました」
最初はおずおずと話し始めたのが次第に滑らかな日本語に変っていきます。驚くほど流暢です。こっちの英語のレベルを思い返して恥ずかしくなりました。
「私はスリランカから来ました。今、ここに住んでいます。」
スリランカ。ゼッケン56番カルナナンダ選手の国。巨匠A.C.クラークが居を構える国です。そういえば一時期かなり政情が不安でした。
「この辺はきれいでいいところですね」
と水を向けると
「でも日本が懐かしいです。私は日本が好き」
と、笑いながら返してくれました。8年間日本に住んでいたというのは出稼ぎだったのでしょうか。そうは思えません。言葉の選び方や物腰の柔らかさからして仕事か留学だったのではないでしょうか。母国語に加えて二つの外国語を流暢に話すこの人がなぜガソリンスタンドで働いているのか知る私には由もありません。
ただ、何気ない会話が気持ちのいい後味となって残りました。

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