IT時代の積読

「面白そうだから読もう」

と思って買ったはいいが、そのまま本棚の肥やしにしてしまうことを

積読/つんどく」

と言います。一種の揶揄ですが、私はあまり悪い印象を持っていません。かくいう私も自宅に積読状態の書籍が数十冊あります。到底追いつきません。

 

なぜ積読に悪い印象を持っていないかと言うと、そもそも日本人は本を読まないという厳しい現実があるからです。

「読書してますよ」

と言う人の読書歴がビジネス書ばかり、などというのはまだましな方です。そもそも誰も本を読まないのだから、読もうと思って買うだけ向学心に満ち溢れています。自己肯定といえばそれまでですけどね。

悪い印象を持たないもうひとつの理由として、私がよく読む分野の技術書や通俗向け科学解説書はあっという間に絶版になるという事情があります。技術書の場合、絶版になるということはその分野の旬が終わることを意味しています。旬の時期に読んでいないというのは確かに恥ずかしいことではあります。とはいえ、旬が終わっても次の技術の基礎知識として残ることが多いため、本があるうちに手元に置いておかないと次の知識の理解に差し障りがある、ということは否めません。趣味の分野でも同じですね。

さて、技術書は絶版になるので積読であっても買わなければならいことがありますが、これが電子書籍時代になって事情が変わってきました。

本棚の代わりに「欲しいものリスト」が膨れ上がってくるのです。本屋にはちっとも貢献しない分、20世紀の積読よりもたちが悪いかもしれません。なんにせよ、なんとなく読みたい、何となく読まなければならない本は増えていくばかりです。

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