不時着していた

松浦氏のBlogやJAXAのサイトに第一回着陸時の詳細が発表されています。それによるとはやぶさイトカワに不時着していたようです*1。(記述を墜落から不時着に変更しました)

詳細はまた後ほど書きますが、ざっと読んだところ当日起きたことはこんな感じだったようです。

  • 高度40m : ターゲットマーカー切り離し
  • 高度35m : レーザー高度計から近距離レーザ距離計へ切り替え
  • 高度25m : 自由落下に移行
  • 高度17m : 地球との高速通信姿勢から着地姿勢に移行。この後、地球からはビーコン通信しかできなくなった*2。以後、自律シーケンス
  • 高度不明: 障害物センサからの入力に従い、着陸シーケンスを中止。いったん化学燃料ジェットをふかして高度を維持するが、離脱を行うための姿勢を確保できず、離脱中断*3。自由落下が続く。
  • 高度0m : 低速でイトカワに不時着、バウンドして*420分後に再バウンド、その後着地。以後、およそ摂氏100度のイトカワ表面であぶられ続ける
  • 着地後も姿勢を保つため、ジェットを吹いていた。しかし、サンプラーホーン以外の部分も接地していた。
  • 30分後、地球からの強制離脱コマンドを受け、イトカワを離脱。太陽電池出力が最大になるセーフモードに移行
  • 復帰に手間取り、イトカワからはかなり離れた。

イトカワへの不時着は秒速10cmとゆっくりしたものでしたが、低重力とはいえ、慣性が消えるわけではありません。機械的なダメージは無いようですがこれはラッキーでした。熱による機器のダメージはまだ調査が必要な模様です。
接地の際にイトカワ表面の物質が舞ったはずで、サンプル容器に付着している可能性が論じられています。サンプル容器をひとつ密閉して、微量でも持って帰る可能性を維持する模様。

別に揚げ足取りをするわけじゃないが

これを「着地成功」といわれるとそりゃ違うだろう、と思ってしまいます。末席を汚す身とはいえ、技術屋ですから。

重量と慣性

はやぶさの質量は200Kgくらいあります。イトカワの表面重力が10万分の1Gとすると、イトカワ表面に接地しているはやぶさの重量は2g重!!ビー玉ひとつくらいでしょうか。
しかし、重力が弱くても質量が消えるわけではないのです。質量200Kgの宇宙船が、秒速10cmで運動すると、幼稚園児が小走りで走るくらいの運動量があります。それが小惑星にぶつかるということ。
サンプラーホーンはその衝撃に耐えるように作られていますが、太陽電池はそうではありません。破損が無くてなによりでした。

*1:着地に成功、と報じているところがほとんどです

*2:そういう設計です

*3:着地シーケンスは停止しているので、結果的に不時着を選択したことになる

*4:本来の着地シーケンスでは、ここで化学燃料ジェットをふかして離脱するはずだった。

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