06, 07 源氏物語 瀬戸内寂聴版 巻六、七

「わんちゃんが雀をかごから逃がしちゃった」
と、泣いていた幼い若紫。藤壷に血が近いばっかりに源氏の君の興味を引いてしまい、後ろ盾もないまま拉致同然に連れ去られた若紫。世間も何も知らないまま、ただ源氏の好みの女になるためだけの教育を受け、養父だと思っていた男に犯されて泣くしかなかった哀れな少女。
頼みにするしかないその男には正妻が居る儚い身。やがて正妻は死ぬも、男は女癖の悪さがたたって失脚、遠方へ逃走。「あなたのことだけ考えています」と手紙をよこしながら、現地の女に子供を産ませていたと気づいたのはずっと後の話。
夫は復権し、晴れてもどってくるも、自分の目の前に妾たちを住まわせる御殿群を建設。子宝に恵まれず、明石の君の生んだ子供を育てるしかなかった紫の上。出家したいという願いも聞き遂げられないまま、夫の恨みから死んで悪霊となった女に祟られ苦しむ晩年。

源氏物語 巻六 (講談社文庫)

源氏物語 巻六 (講談社文庫)

源氏物語 巻七 (講談社文庫)

源氏物語 巻七 (講談社文庫)

登場人物の中では準主人公なみに重んじられているとはいえ、ひときわ身の上が哀れなのが紫の上です。貴族に生まれた女は成長すると御簾の中に隠れ夫以外の男に顔をさらさずに生きます。いってみれば籠の鳥です。父親ではなく夫に育てられて籠に入れられた紫の上は、とうとう出家して籠から出ることもかなわないまま死んでしまいます。
前半と異なり重苦しい雰囲気の漂う6,7巻でした。