01 源氏物語 瀬戸内寂聴版 巻一

前々から興味のあった源氏物語を読み始めました。以前から本屋で手に取ってみていたのですが、岩波のは敷居が高く、すぐに放り出しそうです。そうするうちにugemさんが源氏物語を読んでいると、知り、私も瀬戸内寂聴版を読んでみることにしました。

源氏物語 巻一 (講談社文庫)

源氏物語 巻一 (講談社文庫)

なんといいますか。
あり得ないほど女性にもてる源氏の君の物語だとは知っていたのですが、一巻読了後の感想はなかなか難しいモノでした。確かに雅な点もありますし、はっとするような男女の機微なども描かれては居ます。しかし、そういった描写と、主人公である源氏の君ちゃらんぽらんさというか、すさまじいばかりの移り気加減が、どうも頭の中でかみ合いません。人妻を落とすためにその子を手なずけるまでして忍び込んだのに、寝床が空と知ると、即座にその横に寝ていた少女(その人妻の義理の娘)抱く。で、人妻が脱ぎ捨てていった下着はちゃっかり持ち帰って、あとで想いにふける。どう見ても色魔でしょ。
ストレートに受け取るから品がない。そうかもしれません。しかし、源氏の君という男をどう位置づけたらいいのかわからない。それが1巻の読後感でした。そしてこのもやもやした気持ちは、訳者による解説によって見事に晴れます。

藤壷を得た自信が、なかなかあえない藤壷の代用品として、同じ高貴の、得難い女性の六条の御息所に近づかせたのであろう。
紀伊の守の邸で誰はばからぬ強引な態度で人妻に近づき犯す源氏の太々しさには、最高の女性を二人も立て続けに掌中にした若者の自信の裏打ちがあったのである。

瀬戸内寂聴という人は表現がストレート過ぎることがあって以前からあまり好きではなかったのですが、この身も蓋もないほどストレートな解説は私が源氏の君に抱いた印象を見事に射抜いています。源氏の君は、宮中絵巻というよりフランス書院の年上モノに出てくる若造のような人物です。これから2巻に取り組みます。人物像が定まったので、安心して雅な部分も楽しめそうです。
知り合いに影響されて年間何冊小説を読めるか試してみることにしました。小説に限らず新書なんかも乱読していきます。

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