昨年聴き始めた時には何となく聴いていただけですが、今年の四月からのシーズンは教科書を買って一緒に読んでいます。とうとう録音も始めました。先生が中国語で朗読してくれるので、漢詩の押韻平仄のルールが紡ぎ出す音楽のような楽しさを、一緒に味わうことが出来ます。
さて、4月からのテキストの17回に李商隠が紹介されています。この人は当時『獺祭魚』の異名をとったそうです。「カワウソ、魚を祭る」。中国ではカワウソがとった魚を陸に並べる習性を「捧げものをもって神を祭っている」と考えたそうです。李商隠は典故(隠喩)を行うために、自分の周りにずらりと文献を並べて詩作を行ったそうです。その姿が「カワウソが魚を祭っている」ようだ、というわけで獺祭魚庵、だとか*1。李商隠の漢詩は暗喩が多いため、彼の回は教科書の解説も大変です。
なんというか、味わい深い異名ですよねぇ。漢詩を作り上げた中国の文化とそれを支えた人々の懐の深さを垣間見るようなエピソードです。向こう何十年か、漢詩の本を読んでいればそれだけで退屈しない気がします。