もう、誰でも知っていることですが

あまり問題にされないというか、みんな目を瞑っている問題。
昨日のコメント欄で、何の気なしに書いたことにえらく反応がありましたのでちょっと注釈。
カメラ業界でどこまで進行しているのか分かりませんが、日本の電子工業系の会社ではある程度市場が煮詰まってしまうと、部門ごと解散します*1。表立って解散すると体面が悪いなら、あまり使えないおじいちゃんあたりを残して、主力技術者が他部門に移転されます。当然移転されるのは大きな会社の場合で、中規模いかだと技術特化型企業が多いせいでリストラを食らったりします。また、会社が合併吸収を繰り返されるうちに、居所の無くなる技術者もたくさんいます*2。この辺にはもう少し違う動きもあって、徹底的なコストダウンを行うためにSoC LSI化した結果、SoCを作る半導体企業側にノウハウが移り、元々ノウハウを開発したはずのセットメーカー側が空洞化してしまうという現象も起きています*3
70年代中期から90年代中期あたりまで世界の電子産業を蹂躙しまくった日本の電子技術者も、いまや日本の会社では食っていけません。シリコンバレーだと、別資本によるベンチャーなんて機会もあるんでしょうけどね。日本は当の大手の資材が徹底的に弱いものいじめをするので電子系ベンチャーなんて賽の河原みたいなものです。さらに、それまで日本の大型製造企業を支えてきた中小の切れるおっさん達も、いまや大きな企業に勤めているだけのひよっ子達に「中国のほうが安いですから」とあっさり切り捨てられる始末。
で、何が起きているか。
指導的な立場の技術者の中台韓への流出です。技術には、常識的技術、特許技術のほかに勘所ってやつがありまして、そこを押さえられる技術者はそれほど多くありません。たくさん技術者のいる大企業でも、勘所を抑えている人は部門に一人とか二人。現場の人は否定するかもしれませんけどね。外から見ると冷たい事実だったりします。そういう勘所を押さえられる技術者が一人いると、日本国外でも日本製品に負けないような品質のものを作れるのです。LSIメーカーのリファレンスどおりに作っても、普通の技術者が作るのと、勘所を知っている技術者が作るのは結果が違うのです。ですから、てだれの技術者ってのは結構転職の声がかかるものです。
カメラに関しては韓国の会社がずいぶん日本人技術者を集めているなんてうわさが一時期ありました。一眼レフはレンズが命ですので、そのあたりのノウハウのある技術者が数人転移していくと、大きな変化が起きるでしょう。
そういうわけで、会社が特許を売らなくても、技術者が外資に就職するだけでノウハウは給料と交換に売られていくということです。

*1:昔、家電メーカーはそれぞれオーディオブランドを持ってましたよね。

*2:最近のトレンドはビデオ技術者ですかね

*3:無線系とか

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