上意下達と隠蔽体質

ちょっと前に「重役が身分を隠して自社の現場に潜入する」という番組がありました。全体的に甘ったるい結末ありきの番組でしたが、ひとつ気になったことがあります。それは、多くの会社で現場と中央の乖離が激しかったことです。

あまりにも多くの会社でお決まりのパターンとなっていたのが

「本社から勝手な方針ばかり押し付けられる。改善案や抗議をしてもまったく聞いてくれない」

というものです。実際には本社の管理部門にも言い分はあると思いますが、多くの職場では現場が蓄えた知見が無視され、たんに本社の管理部の方針が押し付けられていました。そしておしなべて重役がいうわけです。

「しらなかった」

と。

さて、今年も恵方巻き騒ぎです。

www.j-cast.com

コンビニが仕掛けたと言われる恵方巻き。

私はそんなものがあるなどつい最近ブームになるまで知りませんでした。そして1,2年、恵方巻きというと名前とは裏腹に、SNSでは誰も幸せにはならない社会の歪みの象徴のように取り上げられています。アルバイトは店にノルマを課せられたと言い、本部は我々はそんなことはしていないと言いはる。そもそもコンビニのフランチャイズは本部が利益だけ吸い上げて責任は店に押し付けるという構造になっているため、その歪みが噴出しているとも言えます。

さて、この2つに共通している問題は、下から上への抗議や提案がブロックされるという隠蔽体質です。本来現場から上がってくる抗議や提案は、ビジネスの問題を解決する上で重要な情報であるべきですが、実際には多くの組織でそれはら「不都合な情報」として握りつぶされる傾向があります。

これは多分、日本人という民族に染み付いた拭いがたい悪癖です。不都合なことを隠してひたすら下を鞭打つことでその場を取り繕うという愚行は、旧海軍では最終的に国を転覆させる規模で行われました。が、それは特定の組織の例外的問題として目をそらすには、あまりにも多くの場所で行われています。

おそらく、日本で組織を作るなら独立した抗議・意見吸い上げ組織をはじめから作らなければならないでしょう。

内部告発をしたら、告発した相手から呼び出された」

という耳を疑うような話を時折聞きますが、これなども、どれほど握りつぶしが黙認されているかをよく表している話です。組織の健全化、長期的な効率化を考えるなら、隠蔽体質を阻止する仕掛けと教育は必須だと考えています。

ハボタンとシクラメン

例年、この時期はシクラメンの小鉢を買い求めています。

私が子供の頃はシクラメンというと大きな鉢に豪華な株が植わっていたものです。まぁ、本物は見たことありませんでしたけれどね。最近は品種改良が進んだというか、日本人向けなのでしょう、かわいらしいミニシクラメンが広く出回っています。なぜか小さいと安い。

主に白いシクラメンを買っていたのですが、今年は何の気まぐれかシクラメンを買わず、ハボタンを買いました。

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Pentax K5 + Sigma 70mm macro

ハボタン。小学生の頃、冬の花壇に植わっている植物と言えばパンジーとハボタンでした。子供心に何が良いのかさっぱりわからず、ものの本で調べると花では無く葉を観賞すると。何とまぁ、馬鹿馬鹿しいと思ったものです。

それから40年経って、どうやらようやくハボタンの良さがわかる年になったようです。

さて、そんなわけで今年はシクラメンの無い冬だったのですが、何の偶然かお世話になったか方が一鉢送ってくださいました。

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Pentax K5 + Sigma 70mm macro

フリルのシクラメンとは珍しい。賞を取ったカンパーナという品種だそうです。確かに開く前の姿が鐘のようですね。普通のシクラメンは開ききると花弁がピンと上に伸びて美しいのですが、この品種は開く前の姿をめでるようです。

さて、今年もサボりまくったまま年の瀬となりました。皆さん良いお年を。

『オリエント急行殺人事件』

アガサクリスティの高名な推理小説を題材にした『オリエント急行殺人事件』を観てきました。

原作は未読ですが、映画は大変楽しめました。全編を通して豪華な一等寝台列車とそれを使って旅するにふさわしい紳士淑女達がによるきらびやかなシーンの連続です。舞台となるの列車の中ですので絵としては開放感の無いものになりがちですが。一方で冒頭のエルサレムでのハプニング、イスタンブールでの発車シーンなど、中東独特のほこりっぽさとうめき声を上げたくなるほどの人だかりが印象的で、序盤以降の雪山の景色と対照的です。

演技も楽しめました。これまでクリスティ原作の映画は観たことがありませんが、ケネス・ブラナー演じるポアロのエネルギッシュな話し方が大変面白かったです。内面の信念がにじみ出るような強いアクセントが素晴らしいですね。

肝心の急行列車も見所満載です。夜の雪山を走るシーンはちょっとCGにがんばりすぎて、なんだかイギリスの某魔法映画のCMでも観ているような錯覚になんどか陥りましたが、なんと言っても見所は一等寝台の客車と豪華な食堂車。そして、これでもかと言うほど真っ白に現れたナプキンと美しい食器の数々です。

登場人物もそれぞれに三つ揃いを一分の隙もなく着こなして見せたりと、ハリウッドの大作はこういう細部で手を抜きませんね*1

豪華な俳優とセットに加え、謎解きが進につれて不穏な影を落とす悲劇など、ストーリーも楽しめました。お奨めです。

*1:とはいえ、蒸気機関車が雪まみれだったり、物理的な甘さもハリウッドらしいと言えばらしいです。雪は解けちゃうはずですけどね

『ゴッホ 最期の手紙』

ゴッホを題材にした映画『ゴッホ 最期の手紙』を観てきました。

この作品は一旦俳優の演技を撮影した後、油絵で描き直した物をコマ撮りするという気の遠くなるような作り方をされた作品です。この話だけ聞くと奇をてらった映画に感じますが、全編にわたって息を呑むほど丁寧な絵作りと、終盤に向かっての観る者をぐいぐいと引きつけるストーリーがすばらしく、あっという間の2時間でした。

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『ドリーム』機械に酔いしれ、差別に打ちのめされる

日本では「差別と区別は違う」と耳にすることがあります。

概ね「区別しているだけのことなのに、過剰反応されてこまる」という意味です。本当に過剰反応のこともあれば、差別する側の言い訳のこともあります。

しかしマーキュリー宇宙船計画当時のNASAで働く三人の黒人女性を描いた映画『ドリーム』では、

「差別の実行は、区別として行われる」

ということを、嫌と言うほど見せつけられます。以下、だいぶネタバレがあります。

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チーズの味噌漬け

『エイリアン』を観た後につまみを買って帰ろうとしたのですが、いざ店に行って眺めてもピンとくるものがありませんでした。

そこで以前居酒屋で食べ、いたく気に入った「チーズの味噌漬け」に挑戦しました。ネットで検索すると山のようにレシピが出てきます。

私はお手軽にこんな風に作ってみました。

赤味噌とみりんを3:1くらいで混ぜてペーストにします。カットしたチーズの表面にペーストを塗りつけ、サランラップに包んで冷蔵庫へ。

当日と翌日で食べ比べました。流石に当日のものは「チーズ味噌」の域を出ていません。翌日食べたものはやや味噌がしみこんでおり、なかなか面白い味になっていました。

2,3日寝かすと面白いかも知れません。

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