アガサクリスティの高名な推理小説を題材にした『オリエント急行殺人事件』を観てきました。
原作は未読ですが、映画は大変楽しめました。全編を通して豪華な一等寝台列車とそれを使って旅するにふさわしい紳士淑女達がによるきらびやかなシーンの連続です。舞台となるの列車の中ですので絵としては開放感の無いものになりがちですが。一方で冒頭のエルサレムでのハプニング、イスタンブールでの発車シーンなど、中東独特のほこりっぽさとうめき声を上げたくなるほどの人だかりが印象的で、序盤以降の雪山の景色と対照的です。
演技も楽しめました。これまでクリスティ原作の映画は観たことがありませんが、ケネス・ブラナー演じるポアロのエネルギッシュな話し方が大変面白かったです。内面の信念がにじみ出るような強いアクセントが素晴らしいですね。
肝心の急行列車も見所満載です。夜の雪山を走るシーンはちょっとCGにがんばりすぎて、なんだかイギリスの某魔法映画のCMでも観ているような錯覚になんどか陥りましたが、なんと言っても見所は一等寝台の客車と豪華な食堂車。そして、これでもかと言うほど真っ白に現れたナプキンと美しい食器の数々です。
登場人物もそれぞれに三つ揃いを一分の隙もなく着こなして見せたりと、ハリウッドの大作はこういう細部で手を抜きませんね*1。
豪華な俳優とセットに加え、謎解きが進につれて不穏な影を落とす悲劇など、ストーリーも楽しめました。お奨めです。