27 宇宙戦争

誰でも名前くらいは聞いたことあるどころか、おそらくプロットも広く知られている古典名作。

宇宙戦争 (ハヤカワ文庫SF)

宇宙戦争 (ハヤカワ文庫SF)

実は読んだことがありませんでした。正直舐めてたんですよ。だって、1800年代の本ですよ。ハードSF好きとしてはねぇ。
しかし、読んでぶっ飛びましたね。新訳のせいもあるのでしょうけど、古さを感じさせない小説です。たしかに宇宙人やその兵器の奇想天外さはあるものの、侵略の予兆、宇宙船の登場、宇宙人の登場、侵略の始まり、軍隊の反撃、宇宙人の目的、逃げ惑う人々、よくぞまあここまでと思うほど、圧倒的なリアリティで迫ります。そりゃもちろん、宇宙に進出するような種族が他の惑星の生態系と自分の生態系のマッチングに無関心なはずがない、なんてことはありますが、それを言うとハインライン、クラーク、アシモフといった巨匠の作品も全否定になりかねません。野暮です。
宇宙戦争」の素晴らしさは、仮定をひとつ置いて、その結果何が起きるかを考える、というSFの醍醐味を正面からあじあわせてくれることです。戦車も飛行機もないイギリスが宇宙人から侵略されていくシーンの描写は圧巻です。特に前書きでクラークも書いていますが、著者がこの本を書いた段階で、人類は戦禍から逃げ出す大量の難民というものを見たことがありません。それを見事に描ききって後世への予言としたことは、この本がまさにSFであると言える点です。
極限における人間性を綺麗事で終わらせていないことも、名作と呼ばれる理由でしょう。
皆さんもぜひお読みください。