糠平湖から三国峠へ

十勝平野には見どころがたくさんありますが、私の好きな場所を一つ上げるならば三国峠から十勝平野へと降りていく道路です。

この道路は層雲峡から峠の細いトンネルを抜けたところから始まりますが、峠付近から見える手つかずの広大な原野、両サイドを囲む白樺、湿度の高そうなダム湖畔の森林と、走る者を飽きさせない楽しいルートです。夏ならばルピナスの群生地に寄ることもできます。


その道の途中にあるダムは糠平湖と呼ばれていますが、ここには2008年のJRのポスターに採用されて爆発的に知名度が上がったタウシュベツ川橋梁があります。夏から冬の始まりにかけてダム湖に姿を隠す神秘の橋ということで観光客が押し寄せ、結局橋梁へ通じる林道にゲートが設置されたといういわくつきの橋です。

我が家は何度か旅行で糠平湖脇を通っていたのですが、そっち方面のアンテナが低かったせいでタウシュベツ川橋梁に私が関心を持ったのはつい最近のことです。しかもそれほど執着していたわけでもないため

「夏はダムに沈むんだって」

と、ろくすっぽ調べずにダム周辺の施設で引き返したこともありました*1

さて、私もだいぶ年を取ったので、今後はそうそう北海道に遊びに行くことはできないだろう、と気分を変えて秋に訪れた今年の北海道。なんとなんと、水不足で橋梁ほとんど水に沈んでいないとのこと。これは観に行かねば、とミーハー丸出しで湖に向かいました。

タウシュベツ川橋梁は林道を4kmほど走らないと到達できませんが、糠平湖には町がつくった展望台があり、林の中を100mほど歩くだけでその姿を拝むことができます。

聞いた通り、橋梁は水に沈むことなくしっかりと見えていました。

タウシュベツ川橋梁

糠平湖からさらに上ると三国峠付近に緑深橋があります。ここからは眼下に広大な原生林(だと思う)を眺めることができます。手前には優美な曲線からなる橋はアクセントとなっていて、とても良い景色です。絵葉書的と言えばそれまでですが、とてもきれいですね。

緑深橋より

三国峠までは広い空の下を走るのですが、三国峠のトンネルを抜けると、急に空が狭くなります。こちら側は複雑で険しい地形になっていて、目の前を何らかの稜線が遮っていることがほとんどです。そしてその両線の合間に冠雪した大雪山が見えます。

今年は冠雪が早かったらしく、急ピッチで紅葉が下りて行ったとか。もっと近づけば紅葉を楽しめたかもしれませんが、帰りの行程が気になったのでダムまで下りた後に引き返しました。秋の北海道は陽が落ちるのが早いです。

冠雪する大雪山

さて、三国峠から降りていくと、両側を白樺に囲まれた道路が続きます。このあたりはいかにも深い森を切り開いて道路を通したという景色が続き、好きな道です。

写真は上り方向。

白樺の道路

大変美しい道なのですが、途中「秀逸な道」というなんとも評しようのない日本語の標識が立っており、家族と二人でげんなりしました。調べたところ、北海道開発局の公式ブランドらしく、そこここに標識を立てている模様です。

もうちょっとこう、何とかならないものですかね。三国峠の向こう側には「錦秋橋」「望壁橋」といった詩心を感じさせる橋があって、いい気持で運転できたのですが。

*1:我が家の旅行シーズンは6月なので、実はチャンスはあった

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