MS-WORDのスタイル機能

私はMS-WORDが大好きです。言い切っちゃいますよ。これのおかげでどれだけ助けられていることか。その中でも次の二つの機能はもう、「これなしでどうしろと」って気分です。

  • スタイル機能
  • 文書チェック機能

スタイル機能は周りを見てもほとんど使っている人がいません。しかし、ネット上で探せば、そのよさをきちんと説明した文書をいくつも見つける事ができます。正直言って、スタイル機能を使わないのならMS-WORDで書く必要がないのですが、以下、なぜそう思うかを昼休みが終わる前に書いてみましょう。

文字の修飾とレイアウト

議事録と称してMS-WORD(以下WORD)文書を送りつけてくる人の多くは、見出し部分を太字かつ、20ポイント位の大きな文字に変更しています。で、小見出しは16ポイントくらいの太字にしているわけですが、これをいちいち全部の見出しにかけているのを見ると、「はぁご苦労なこって」と思わざるをえません。それだけならまだしも、たいていこういうことをする人のレイアウトはめちゃめちゃです。

  • 見出しの文字の大きさがばらばら
  • 字下げもばらばら
  • 気が向くとセンタリングされていたりする
  • 段落の字下げがあったりなかったり
  • しかも字下げはスペースを使っている

「読めればいいんだよ」という声が外野から聞こえそうです。そのとおり!読めればいいんです。だから格好つけてWORD文書添付なんかしないでメールにテキストで書いてくれないですかね。そうすれば社内で回覧しやすいし。
WORDは、単なる文字入力ソフトではありません。このソフトは、きちんとした構造の文書を、手間をかけずに作ることができる仕掛けを持っています。それがスタイル機能なのです。しかし、毎度毎度文字サイズを変えたり色をいじったりしている限り、スタイル機能のよさに気づくことはないでしょう。

文字修飾の害悪

スタイル機能を使わずに文字修飾を使うとどんな点で損をするのでしょうか。

体裁に統一感がない
文を書き始めたころ見出しに20ptを使っていても、書き終わるころに24ptをつかったりすれば、文章の見た目はめちゃめちゃになります。そんなことはしない?それじゃ、昨日の文書と今日の文書ならばどうですか?来年は?
切り貼りできない
スペースで位置ぞろえをした文章は、別の文書に貼り付けると形式が破綻します。それどころが文字サイズを変えただけでも破綻します。
形式の変更を行えない
文書全体の中から、見出しだけ文字サイズを変える場合、一箇所ずつ訂正することになります。訂正箇所が増えれば現実的な時間では行えませんし、取りこぼしも増えます。
よいレイアウトにならない
形式の変更に手間がかかる以上、細かい調整を重ねてよいレイアウトにしていくなど夢のまた夢です。
章番号は自分でつけなければならない
当然です
blackfin:keyword:目次">目次を作れない:WORDには目次作成機能がありますが、文字修飾で見出しを作ると、この機能は使えません。手作業で目次を作ることになります。そして、文書を変更すると目次は全部作り直しです。
PDF変換してもしおりを作れない
ネットからダウンロードしたPDF文書の中には、右側にしおりがついていて扱いやすいものがありますよね。あれは、WORDから自動抽出されたものです。しかし、文字修飾で見出しを作るとこんな便利な機能も使えません。

まとめると、文字修飾は時間の浪費の割りに見返りが少ないです。

スタイルの世界

スタイル機能は、文字の大きさやフォントの種類、段落の取り方をまとめて「スタイル名」として指定する方法です。あと15分で、WORDのスタイルを使った文章作成の世界をざっと紹介しましょう。おおむね、上に挙げた問題の逆です。

体裁に統一感がでる
大見出しには「見出し1」、小見出しには「見出し2」本文には「本文*1」といった感じでスタイルの名前で形式を指定します。そうすると文書の最初から最後まで間違いなくスタイルが統一されます。
切り貼りできる
体裁を整えるのにスペースなど使っていませんから、ほかの文書に張り込んでも大丈夫です。
形式の変更を行える
たとえばフォントサイズを変える場合は文章のフォントサイズを直接変更するのではなく、スタイルのフォントサイズを変更します。すると、そのスタイルを使うすべての文がいっぺんに変更されます。
よいレイアウトになる
フォントサイズや行のあき加減はスタイルの変更だけで文書全体を調整できます。そのため、スタイルを微調整してよりよい体裁にしていくことが簡単にできます。
章番号は自動でつく
スタイルと章番号を結びつければ、章番号、節番号はWORDが勝手につけてくれます*2。節や章が増減したり、移動しても大丈夫です。
blackfin:keyword:目次">目次を作れる:目次はWORDが見出しスタイルから勝手に作り出してくれます。
PDFにしおりをつけられる
AcrobatはWORDから見出しを抽出して勝手にしおりを作ってくれます。
入力が楽になる
私は「見出し3」の入力が終わったら自動的に「本文」スタイルになるような機能をよく使います。流れを邪魔されることが減ります。

どうでしょう。便利だと思いませんか?WORDのスタイルは自転車と同じです。習得に一定の努力が必要ですが、広がっているのは別世界です。
WORDにはたくさん悪いところ*3があります。それは事実。しかし、よいところだけ使ってやれば、とても便利な道具です。

CSSとスタイル

WORDのスタイル機能はWEBページのCSSによく似ています。CSSの例としてあげればはてなのスタイルそのものが挙げられるでしょう。たまに気分を変えるためにはてなダイアリーのデザインを変えますよね。それが簡単にできるのは、はてなの見出しや本文がスタイルシートという機能でフォントサイズやレイアウトに結び付けられているからです。
WORDのスタイル機能も同じなのです。

*1:本文に「標準」スタイルを使うのは感心しない

*2:ただし、こいつのお守りが結構面倒なのはWORDの悪いところ

*3:図の配置機能がアレだとか、図番機能が貧相とか、Autoフォーマットを殺してやりたいとか

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