初期のDSPに関する覚書

AMI S2811
1978年アナウンス。79年にファーストシリコン。ホストマイコンから演算ルーチンをダウンロードして実行する、8ビットマイコンペリフェラル。大量生産に使われることはなかった*1
Intel 2920
1979年アナウンス。ADCとDACを内蔵した意欲的な"Analog Signal Processor"。乗算器を持たないため、乗算はシフトレジスタを使う。ダイレクト・アドレッシングしか持たず、分岐命令もなかったためどちらかというとシーケンサー付ALU。モデムの部品として使われた。ISSCCの発表論文にはHoffの名がある*2
ベル研 DSP1
1980年のISSCCで発表された世界初のワンチップDSP。81年にアーキテクチャーの詳細が発表されている*3
NEC uPD7720
1980年のISSCCで発表された世界初のワンチップDSP。世界初の量産DSPでもあるが、アメリカ向けの開発ツールを整えるのが遅れたため、結局普及しなかった。PC9801もIBM PCもない時代である。1980年ごろはi8086, Z8000, MC68000が最先端のチップだった。当時のNECがいかに野心的だったかわかる。
TI TMS32010
1983年発表のTI初の量産DSP
  • 1977年にマイクロエレクトロニクスによるディジタル信号処理アーキテクチャーに関する先駆的な論文が出ている*4
  • 1986年のインターフェース誌の信号処理特集でTMS320とuPD7720が取り上げられている。

*1:S2811 Signal Processing Peripheral, Advanced Product Description, AMI, May 1979.

*2:Hoff and Townsend, "An analog input/output microprocessor for signal processing," ISSCC Digest of Tech. Papers, February 1979, p. 220.

*3:Bell System Technical Journal, Vol. 60, No. 7, September 1981.

*4:Stanzione et al, "Final Report Study Group on Digital Integrated Signal Processors," Bell Labs Internal Memorandum, October 1977.

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