仕事から向き合われる

「仕事とどう向き合うか」「仕事にどう取り組むか」「仕事をする上での心構え」といった話はよく聞きのですが、「仕事とどう向き合われるか」「仕事にどう取り組まれるか」「仕事をするうえでの心構えられ」といった話は聞きません。あたりまえです。精神論に受動態はありませんから。
15年ほど前、「腕一本で技術屋稼業」の志を抱いて上京したのはよかったのですが、高周波回路技術者になりたい!という志望は退けられ、いらんことマイコンがわかったばっかりにロジック回路の部署に配属されました*1
ロジック回路*2の部署は私が入社したときからいわゆるデスマーチ状態でした。断続的にそのような状態が4年ほど続きましたが、結局「もう、開発じゃなくてもいい」と、何もかも投げ出して他の部署に移籍しました。
これは若い人に言っておきたいことですが、志や夢というのは確かにすばらしいものです。が、「消耗戦の前にはそんなものは紙くず程度の価値しかない」ということを知っておいても損はありません。私は逃げ出したおかげで今は人並みのシアワセに浴しています。あの職場にとどまっていたら今ほど旅行にもいけなかったでしょうし、単車もそれほど乗れなかったでしょう。海外に出るチャンスもなかったでしょうし、そもそもネット上での活動をする余裕なんかなかったでしょう。蛸部屋でずっとソフト開発です*3。逃げて正解でした。それでも、レントゲン画像に映った陰ってやつはなかなか許してはくれないものらしく、あれ以来風邪を引きやすいままです。そういえば花粉症もあれ以来かもしれません。
そういうわけであえて愚痴っぽい敗残兵の言葉を書き残しておくことにしました。仕事に燃える姿はかっこいいかもしれませんが、手を抜くときはきっちり抜けって事です。たいてい、逃げる決意をしたときには何らかのダメージを負っているものです。その前に手を抜かないと手遅れです。仕事はあなたの人生なんか考えてくれませんからね。

*1:今この話を同業の技術者にすると、聞く人すべてが衝撃を受けます。80年代後半、アナログ回路を目指す若者なんか絶滅危惧種でしたから。「なぜそんなことになったんだ」といわれますが、会社の答えは「間に合ってるから」でした。まあね。

*2:ソフトウェアとハードウェア両方の開発を行う

*3:厳密に言えば、「今でも」そんな状態であるわけはありません。なぜなら部署が消滅しましたから。

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