日経サイエンス誌の12月号に、大隅義典博士のノーベル賞特集が組まれています。
読みながらぼんやり考えたのは、トレーニングしているのに筋肉が細くなる現象の影にオートファジーが居たのだなということです。もう少し正確に書くと、人間の細胞は何もしなくても構成要素であるタンパク質がどんどん劣化しており、放っておくと大惨事になるのでオートファージ機構によってそれらの老朽化したタンパク質を分解しているということです。
オートファジーによってタンパク質は分解されてアミノ酸になります。そしてアミノ酸は必要な部位でタンパク質に再構成されます。人間が作るタンパク質は食べるタンパク質より遙かに多く、それらはオートファジーによりまかなわれているそうです。これは報道でも言われていました。
さて、そこで思い出したのが
「有酸素運動ばかりしていると筋肉が細くなる。特に長距離ランナーは筋肉が痩せた結果膝を悪くする」
という話です。なるほど、有酸素運動ばかりしていると筋肉が細くなるのではなく、そもそも常に筋肉は細くなっていたのです。老朽化したタンパク質は分解され、再利用されます。有酸素運動ばかりしていると筋肉の負荷が少ないため、筋肉として再利用されるアミノ酸が減って心肺系に持って行かれるのでしょう。その結果、見かけの上で
「有酸素運動ばかりすると筋肉が痩せる」
わけなのでしょう。
繰り返しますが、オートファジーはこの現象の犯人ではありません。タンパク質は放っておいても劣化します。オートファジーがなければ、大隅博士が睨んだように、きっとわずかな時間で我々は死んでしまいます*1。オートファジーは体内で行われる再利用システムの重要な構成要素です。
そういえば、最近の朝のニュースで
「動物性タンパク質を食べない年寄りが栄養失調になっている」
という話をしていました。それに気付きにくいのは、オートファジーによって分解されたタンパク質がアミノ酸として再利用されており、症状がじわじわとしか発現しないからかも知れません。
iOS版 Torne Mobileから音が出ない問題
思うところあって、nasneを買いました。以前から気になっていたのですが、ようやく購入です。
さて、再生ソフトであるiOS版Torne mobileでひとつ躓きました。このアプリだけ音が出ません。同じiPadのYoutubeからは問題なく音が出ます。別のiPadのTorne Mobileからも出ます。なぜでしょう。
原因は本体横の「ミュートスイッチ」でした。Appleの説明では、このスイッチは機能が割り当て可能であり、ミュートスイッチとした場合には音をミュートできます。しかし、以下のような注釈がついています。
次のようなメディアのサウンドは消音されません。
- 音楽
- Podcast
- 映画
- ビデオ
- テレビ番組
nasneから送られてくる動画は映画であり、ビデオであり、テレビ番組です。ところが、Torne mobileで再生するテレビ番組は、このスイッチでものの見事に消音されてしまいます。
どうやらnasneの開発者はテレビの音声をゲーム音声として扱っているようです。内部構造はともかく、無駄にうるさいと開発者から嫌がられているAppleが、認証でこれを見逃したということには少々苦笑いしてしまいます。
台風から吹き出す風は、ほんとうに時計回りだった
以前台風は風を吹き出している - 脇見運転というエントリを書きました。
このエントリの最後にこういうことを書いています。
上層では反時計回りの風が吹き出している
これがずっと引っかかっていました。なにしろ、多くの専門サイトは「台風の上層では空気が時計回りに吹き出している」と書いているのです。しかし、実測データから作っているだろう流速データでは反時計回りです。何が起きているのでしょう。
思いあまってディジタル台風に問い合わせたところ、丁寧な回答をいただきました。台風から吹き出す空気の流れを観測画像として見ることが出来るというのです。たとえば2016年台風10号の赤外画像を開いて、24日の昼頃をみてください。台風の南西に時計回りの吹き出しをはっきりと見ることが出来ます。
回答してくださった北本さんの言葉をよく考えてみたのですが、https://earth.nullschool.net/ の画像は観測データに基づくシミューレション情報であり、台風に関しては吹き出し風が予報にほとんど影響を与えないので手を抜いているようです*1。
とにかく、数年来の疑問がすっきり解決しました。この場を借りて、回答してくださった北本様にお礼申し上げます。
*1:シミュレーションで計算しても仕方ないところを省くことは、よくある
弁当を使う
銭衝さんがツイッターで「弁当を使う」という用法についてつぶやいていらっしゃいました。
このあと、何人かの方が「弁当を使う」という用法についてコメントを交えています。仕事先で「お弁当をつかう」と言ったら、同年代の方から「何それ?」と言われました。日本語の先生からも「方言ですか?」と。そうか……私も自分で使うことはほとんどないんだけど、周囲からすっかりお年寄り扱いされて、ちょっと納得いかないなあ。
— 徳久圭 (@QianChong) 2016年9月14日
私自身はこの言葉を使ったことがありません。多少怪訝に感じながら、辞書を引いてみたところ、ちゃんとありました。三省堂の新明解国語辞典です。
どうやら「使う」には「特定の用途に用いる」という多少婉曲的な用法があるようです。例として挙がっていたのは「弁当を使う」「湯を使う」。なるほど、「湯を使う」なら使ったことがあります。
ひょっとすると「文字ことば」や「女中言葉」のように直截な表現を避けるための用法なのかも知れません。
Windows 10 へのアップグレードでホームグループがおかしくなったときの対処方法
Windows 7/8.0/8.1 からWindows 10にアップグレードした場合、それまで使っていたホームグループに障害がでます。
家庭内の2台のPCをWindows 10にアップデート、共有設定を完了させました。
1台のPCのホームグループ設定メニューで”今すぐ参加”を選択すると、”パスワードを検証中”となり、その後”パスワードを入力してください”となります。
しかし、パスワードがわからないためホームグループに参加出来ません。
もう一台のPCで作業しても同じ現象です。
Windows7の時は、コントロールパネルから”ホームグループパスワードを表示または印刷する”のメニューがあったのですがwindows10ではなくなったようです。
ホームグループは管理用PCからいつでもパスワードを表示できるのですが、その機能がWindows 10へのアップグレードで壊れてしまいます。しかも新しいホームグループも作ることが出来ませんので、古いホームグループを捨てて乗り換えることも出来ません。この問題は日本のマイクロソフトのサイトを見ても解決できませんでした。
結局、海外のサイトを検索してわかったのは以下の方法です(情報元失念)
C:\Windows\ServiceProfiles\LocalService\AppData\Roaming\PeerNetworking の中身を全部消す。
リスタート後に新しいホームグループを作ることが出来ました。新しいホームグループのパスワードは直ちに自分が決めたパスワードに変更しました。