前門の狼、後門の虎

昨日読んだ近藤さんの日記。もうだめだ、と思ってからが勝負と言う話。

別に「夜中に眠いのに無理して起き続けて仕事をする」みたいな非健康的な話をしているのではなくて、健康的な体を維持しつつ、体力もつけながら、精神的にも自分を鍛えて、仕事に集中できる質と量を高め続けていく、そういうことは最初の入り口で思うよりも遥かに奥が深い長い道のりだと思うということです。

脊髄反射レベルで「いやいや、危ないよ」と思ったけど、多分そう思ったのは今の私が後ろ向きだから。よくよく読んでみると、書いてあることは、至極全うなことばかりです。健康管理は自分の責任なのですから、責任において健康な範囲で前に進めるだけ進めと言うのは、堂々たる正論ですね。前に進むための健康管理であるとも。
思ったとおり、私が考えたような反論も出ていますが、それは「やっている人と、やらされている人の差だ」というのは、読む人すべてが考えなければならないこと。
ところでそれを踏まえた上で読む、結城さんの文章。

結城の経験を振り返ってみると「ああ、あのとき頑張って本当によかった」と思うこともあるけれど「ああ、あのとき頑張らなくて本当に本当によかった」と思うこともたくさんある。そして、「頑張らなくてよかった」ときの「よかった」度合いは非常に高い。時には命がかかっていたりする。

これは「やらされている人」が心して読むべきことです。前に進むのがつらいのは当然として、後ろに引くのだってつらい決断を伴います。でも、後門の虎が怖くて引き時を誤れば、引用先にあるようにあるいは命にかかわる事だって起きるのです。
どちらもよい文章です。今の私は結城さんの文章に強く同意しますし、時間を15年ほど巻き戻せば、近藤さんの文章に胸を躍らせて勉強と仕事に励んだことでしょう。

盗用した側の考える落としどころ

一方的に「盗用された」側の意見を読んだだけですが、近頃話題のこのエントリー。

盗用事件の加害者が、被害者に対して「法的措置」をちらつかせるとは。

似たような経験があったような。
振り返ってみると、私の場合も似たようなというか、同じようなと言うか。

  • 公開の場での話し合いを拒む
  • 合意したことを、あとでひっくり返す

私の場合、金の話はしませんでしたし、向こうもしませんでした。改めて距離を置いてみてみると、やはり会社としては金で話をつけたいのが本音でしょう。

  • 金で終わらせたい
  • 合意事項は非公開

合意事項は非公開、というのはビジネスでは当たり前のことなのですが、問題は盗用された文書が公開の場所に無償で置かれていたものであることです。たとえば特許問題であれば、盗用された側と盗用した側が最終的に何らかの合意に達して、新しいビジネスを共同で開くというのが理想的な落としどころです。が、相手が無償の提供者であり、主に名誉を重んじるとなると、困ったことになります。
一般に企業は個人の名誉に興味を持ちません。
金で終わらせてくれよ。顔を立ててくれよ。と言うところでしょう。視点によっては盗人猛々しいわけですが、不満があれば法廷で争いましょう。その場合は面を汚された落とし前も法廷で争いましょう、というロジック。
法務部としては全うな論理です。やられたほうからすると、裁判費用までかかるわけで身包みはがれる可能性まであります。私は短気だった上に、当該サイトの運営に飽きていた頃だったので、面倒になって放り出しました。相手は心の中で舌を出していたと思います。
刺し違えてでも相手のビジネスに致命的なダメージを与えてやる、という覚悟がないならば、出版社相手の義憤の戦いにはメリットは無さそうです。

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