で、次はこっち。スラップスティックSFとしては押しも押されぬ作品だそうですが、もともとハードSF派の私はその手の作品には無縁で、これまで読んでいませんでした。
- 作者: ダグラス・アダムス,安原和見
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2005/09/03
- メディア: 文庫
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「英国人の半分はブラックジョークでできています」と、時折世界の中心で叫びたくなる今日この頃ですが、皆様如何お過ごしでしょうか。SFにおける英国ブラックジョークというと、巨匠A.C.クラークの短編にその姿を時折垣間見ることができます。まとめて読みたければ「白鹿亭奇譚」などがお勧め。しかし、本作のそれは、垣間見るなんてぇものじゃありません。
人生が思うようにならないとき*1、イスラムの人々は「アッラーの思し召しのままに」と言うそうですが、イギリス人は黒々としたジョークを吐きます*2。しかもねじれたやつ。そして救えない感じの。そうやって吐いた黒いジョークで紙を塗りつぶした後に、嫌々文字以外のところのインクを落としたのが本書といえましょう。
そんな感じの本。
面白いかと言われれば、書かれているジョークはちっとも面白くないのです。が、「こんなことを思いついた作者の頭はどうなっているんだ」と、電車の中で繰り返し噴き出しそうになった一作です。
「やめてくれ。なぐさめの言葉なんか要らないんだ」と、今まさにヒネタ気分のあなたにお勧め。惑星規模の知性を持ちながら、雑用ばかりさせられているロボットの姿は、きっと「どうやら俺の人生は最悪ってわけでもなさそうだ」と、あなたに気づかせてくれるでしょう。
最後に、お気に入りのエピソードは「ペチュニアの鉢植え」のくだりです。電車の中で悶絶しました。