ウルトラセブンの再放送を見ていたら、第28話「700キロを突っ走れ!」に機械式計算機が出てきました。
ストーリーは新開発の超高性能爆薬を輸送する際に、異星人からの攻撃を避けるためラリー出場を装ってダンとアマギが車で爆薬を輸送するというものです。
機械式計算機が登場するのはスタート直後のシーン。ナビ席に座るアマギ隊員と機械式計算機が写ります。
この作品が放送されたのは1968年4月とのこと。当時のラリーではナビゲーターの仕事は機械式計算機を使って各種の情報を計算することだったようです。古い計算機の情報を探すと、当時のラリーで機械式計算機がどのように使われたかと言う話がいくつも出てきます。
この放送が行われた当時は、日本のラリー界ではパイロット製の小型機械式計算機がよく使われたようです。電卓博物館には当時ラリーに使用されたパイロットのP-3型の写真もあります。一方、ウルトラセブンでラリーに使われた機種は東芝の13-TB型のようで、これは東芝が買収したブルースター社を計算機部門として製造したものです。製造時期はわかっていませんが、
「ラリーではナビが機械式計算機を使う」
という話を知っていた小道具係が倉庫から事務用計算機を持ってきて据えた、といったところではないでしょうか。
このエピソードはアマギ隊員の過去のトラウマを克服する話でもあります。一方で彼は射撃の名手のソガ隊員から
「コンピュータばかり使っているからそんななんだ」
とからかわれるエピソードもあるとおり、隊員の中では機械通です。
そんな彼だからこそ機械を扱うナビ係として脚本に採用されたのかもしれません*1。
古い映画や映像作品には、制作当時の世相が色濃く反映されます。こういった事物を見つけるのも、古い作品を見る楽しみの一つです。