SNSを賑わせているニュースです。読後に少し考えてみましたが、ワクチンへの不安を煽りすぎではないか、と考えています。
news.yahoo.co.jpニュースがちょっとわかりにくいと感じたのでかいつまんで書くと:
- COVID-19用のmRNAワクチンを接種した約2万人と、偽薬を接種した約2万人を比較した。
- ワクチン接種による有効率は91%(接種により罹患(発病)者率が10分の1になった)
- 死亡率は同じ(死者の数はほぼ同じだった)
これを以て「衝撃が走った」「やはり接種をしなくてもよい」といった言葉が乱れ飛んでいるようです。ただ、よくよく読むと、本当に衝撃的なのか?という気がします。
まず、治験者の年齢層が16歳から55歳ということで、若年層に分類されます。国内のデータになりますが、COVID-19の年齢別死亡者数は以下の通りです(新型コロナウイルス感染症データより)。
そもそも、16歳から55歳の年齢は、死亡率が高くありません(ただし、後述の公衆衛生上の懸念はある)。ですので、治験者数2万人だとこの年齢層では死者の数が見えない可能性が十分にあります。リンク先の試験は海外ですが、国内ではCOVID-19の累計死者数は1万人強であり2万人あたりに直せば2人となります。2万人の試験で死亡率を推し量ることが妥当なのかどうかわかりかねます。
COVID-19に関しては次の点が大きな問題になっています
- 医学的に中程度の患者であっても大きな苦痛が長期間続くことがあり、味覚障害や倦怠感といった後遺症が長く続くケースが無視できない。
- わが国でもすでに医療機関はパンク状態であり、突発的に症状が悪化しても応じることが出来ず、命を落とすケースが増え始めている。
- デルタ株は在来株より感染力が強く、これまでと同じ生活をしていても、上記リスクが大きくなる。
こういったことから考えて、接種については
- 個々人を大きな苦痛や長い後遺症、家族への感染といったリスクから救う効果が大きい。
- 医療機関の負担を減らすことで、間接的に我々の救命率を高める。
といった効果が相変わらず理解できます。
以上の事から、リンク先のニュースにかんして
「COVID-19のワクチン接種により、罹患後の致命率が上がる」
については、十分に意味のあるほどのデータ数なのか素人なりに疑問を感じざるを得ませんし、ワクチン接種は相変わらず大きな効果がある、と判断できます。
なお、
「ワクチンによってCOVID-19の死者を本当に減らすことが出来るか否か」
については、接種率が70%を超えるような国家で接種者の死亡者数が減少したことが、COVID-19で死亡率が下がることの傍証と考えることもできます。