RF-2200の分解掃除

ゴールデンウイーク最終日は、これも懸案だったBCLラジオ「ナショナル・クーガー RF2200」の分解掃除をしました。

数年前にオークションで落札したこのラジオ、使ううちにボリュームのガリも緩和されてだいぶこなれてきました。一方で、短波のバンド・スイッチにひどい接触不良があります。バンドによっては全く感度が出ていない状況で、いずれはスイッチを基板から取り外して洗浄するつもりです。

今回はその第一歩として、内部の観察のために蓋を開けつつ、可能な範囲で埃を取ってやろうという算段です。なお、ひどい埃の写真がありますので、食欲をなくすかもしれません。ご注意を。

 分解の手順ですが、RF-2200は裏蓋にあるネジを6本抜けば裏蓋もフロントパネルも機構的には取り外すことができます。ねじは6本とも同じ長さです。

ネジのうち1本は電池ボックスの中にあります。電池ボックスの蓋にはスポンジがあり、どんな具合か指でつついたところ、ぽろぽろと崩れてしまいました。古いスポンジの経年劣化は仕方ないところです。スポンジは全部こそぎ落としました。必要なら100均のスポンジを両面テープで貼り付ければ用は足ります。

裏蓋を慎重に持ち上げると配線が引っかかります。これは裏蓋にある電池ボックスとアンテナからのコードです。いずれも回路基板側はピン・コネクタになっているので、簡単に外すことができます。

内部にはプリント基板を使っているとはいえ、コードが入り乱れています。よくまぁ、これをオールバンドで安定させたなと感心してしまいます。裏蓋へのコードはすでにふれたようにコネクタになっていますが、それ以外のコードははんだ付けが多用されており、整備性は考慮しなかったようです。部品もアクロバティックにはんだ付けされたものがあり、製品の完成度を煮詰める間もなく量産に投入されたのだろうことを思わせます。

また、バリコンの上にはフレームから突き出したプラスチックの爪があります。バリコンを含むRF回路を金属のシールドで覆い、そのモジュールをこの爪で固定するつもりだったのではないかと想像します。あるいはシールド前提で保守的に設計し、試作機の性能チェックをしてコストダウンのためにシールドをやめたのかもしれません。

フロントパネルの固定は裏蓋と共用ですので、追加でねじを外す必要はありません。フロントパネルを外すにはボリュームなどのつまみを抜きます。これらは差し込まれているだけで、ロックなどはなく摩擦で止まっています。慎重に引き抜けば簡単に引き抜くことができます。

ボリュームつまみに隠れた部分にフロント・パネルを固定する爪がかかっています。この爪を外してやれば、フロントパネルは外せます。ただし、フロントパネルにもスピーカー・コードとメーター・コードが伸びており、これらを外さないとフロントパネルを外すことはできません。

スピーカー・コードはピンコネクタですので容易に外れますが、メーター・コードははんだ付けされており、どうにもなりません。今回はメーター・コードを外さない範疇で作業しました*1

さて、肝心のバンドスイッチです。これはバンド切り替え機構とかみ合っており、基板を持ち上げただけで機構とスイッチを切り離すことができるのかはなはだ疑問です。また、すでに書いたように多くのコードがはんだ付けされており、容易に基板を取り外すことができそうにもありません。

この先に進むには、はんだ付けを外す作業が必要です。あるいは、コードに中継コネクタを挟んでいくなどして、作業性を改善しながら進んでいくほうがよさそうです。

RF-2200を開けてみると、プーリーや糸掛けダイヤル、それらを支える板金フレームと言った機構とそれらの精度に、真空管ラジオ時代から培ってきた民生用機械設計技術を垣間見ることができます。一方で、プラスチック歯車には50年代から続く激しいコストダウンの影がちらつきます。また、雑然とした配線や場当たり的な部品の取り付け方には、

「生産ラインに人を並べればいいや」

といった町工場的な考え方が見え隠れします。

70年代の日本の民生電子産業に思いをはせながら、まずはつまみ類を洗浄して今回は終わりです。

f:id:suikan:20210505103851p:plain

ぼろぼろになったスポンジ

f:id:suikan:20210505103945p:plain

電池コードのピン・コネクタ

f:id:suikan:20210505104024p:plain

アンテナ・コードのピン・コネクタ

f:id:suikan:20210505104101p:plain

裏蓋を開けたところ

f:id:suikan:20210505104205p:plain

バンド・スイッチとバリコン

f:id:suikan:20210505104427p:plain

何かを止めるつもりであったろう爪

f:id:suikan:20210505104537p:plain

フロントパネルを外すところ。ボリューム位置の四角い穴が固定用の爪。

f:id:suikan:20210505104626p:plain

スピーカーのピン・コネクタ

f:id:suikan:20210505104810p:plain

バンド・スイッチ機構周辺



*1:訂正:メーターがフロントパネルに固着していただけで、指で押すと簡単に外すことができた

/* -----codeの行番号----- */