理屈に合わない用例に困惑する

先週末に予定されていたSpaceX社の宇宙船Startship SN15の試験が延期になりました。

このニュースはテスト飛行が"scrubbed"であると報じられています。

www.dailymail.co.ukScrubを辞書で引くと「ごしごしと洗う」とあります。その意味としての用例は何となく頭に残っていたのですが、試験飛行のキャンセルとつながりません。よくよく調べるとScrubには「キャンセルする」と言う意味がある、とのことです。

いや、わかりませんよ。自然言語の単語が複数の意味を持つのは当然のことですが、世界中に配信される言葉にこんなスラングじみた言葉を使われても。

ネットで語源を調べてみましたが、リストから「消しゴムで消す」ということから転じたのだろうとのことです。

www.etymonline.com

この手の直感的に連装できない用例は、非ネイティブ話者にとっては頭痛の種です。テストフライトを洗う?わかりません。最近の日本語のスラングだと「草」が笑いを意味するようなものです。

大昔の話ですが、やはり調べ物をしていてCloverdという言葉が出てきてひどく当惑したことがあります。手元の辞書をひっくり返してもわからず、どうやって調べたのか「英語の手書き文書では、間違った単語をクローバーの葉の形の記号でつぶす習わしから、『消す』と言う意味」という、ひどくロマンチックな語源だけが頭に残っています。

改めて調べましたが、Oxfordのオンライン辞書にもCloverにそんな意味はなく、それどころか動詞がありません。

www.oxfordlearnersdictionaries.comスラングを調べてみてもCloverに消すという意味はありません。それどころか、文字の訂正に「クローバーの葉の形に塗りつぶす」という風習が見つかりません。

今となってはいつ、どこから私の頭に居ついたのかわからない真偽不明の記憶です。記憶であるかすらわかりません。

たとえ自分の母語であっても、知らない言葉は一生目の前に現れ続けます。とはいえ、外国語の用例が少なそうな言葉がポンポンと現れるのは疲れるものです。一つくらいに背の記憶があっても不思議ではありません。

英語のニュース市場が世界であることを考えると、非ネイティブな英語話者からの理解力の点で、英語のニュース見出しが淘汰圧力を受けて変わっていくなどと言うことも起きるのでしょうか。

やがて配信用の英語がInternational Englishとして派生し、それがEnglishと呼ばれるようになり、現代英語がClassic Englishなどと再命名されることになるのかもしれません。

自分の勉強不足を棚に上げていろいろと考えてしまいました。

追記:これはClobber(上書きする)の記憶違いというオチでした。ちゃんちゃん。

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