スパイクシューズ的人生

古い付き合いの方はこのブログのタイトルが私の行動そのものだとよくご存じです。

私は自他ともに認める注意力散漫です。会議中もしょっちゅうほかのことを考えていますし、本を読んでいる間にほかの本に目が行くこともしばしば。楽しそうなことを見つけると本をたくさん買い込んで片っ端から読み、行動のための準備をするくせにいざ行動というその直前に他に興味が移る。だいたいこんなことの繰り返しです。

さて、勉強の話。

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私の自分の好きなことしか長続きしません。というか、好きでも長続きしません。ですから仕事においてほとんど専門性というものを持ち合わせていません。よくて「ちょっと物知りなおじさん」程度でしょう。しかしながら、幸いにして、この30年間ずっと下り坂だった日本経済をしり目に何とか食いつないでくることができました。

振り返ってみるとその原因の多くは運のよさであり、付き合った人たちの好意でした。が、一方で場面場面で用意できた引き出しの数も助けになったように思えます。そして、それらの引き出しはほとんどが専門というより興味本位で学んだことです。30代のころには高校時代寝っ転がって読みふけったアマチュア無線とコンピュータの記事が助けになりましたし*1、最近であればツイッターやネットニュースを流れていく多くの技術的話題が助けになっています。

学生時代の先生の言葉に今でも鮮明に覚えている一言があります。

「丁字型の人間を目指してください*2

ここで丁の縦棒は専門性を深く掘り下げること、横棒は専門以外の知識を広く浅く身に付けることです。その先生がおっしゃるには

「科学技術は進歩していくので専門を変えなければならないことがあるし、専門外のことに対応しなければならないことがある。専門分野を深く掘り下げておけば、どの分野でも掘り下げ方がわかる。そして広く浅く知識を身に付けて置けば、自分の専門分野以外でも素早く対応できる」

ということなのです。

私の場合縦棒の掘り下げがいい加減なまま人生も黄昏を迎えようとしています。しかしながら、いろいろな分野・企業の勃興を横目に転職を繰り返して食いつなぐことができたのは、詰め込んだ浅い知識をさっと引っ張り出すことができたということも助けになっているようです。

件の先生には感謝しかありません。丁字型の人間にはなれませんでしたが、スパイクシューズ的な人間にはなれたように思います。

 

*1:「なぜ組み込みコンピュータのデータ受け渡しプロトコルとオーディオコーデックの圧縮とRF回路の話が全部できるのだ」とあきれられたことがある。担当者ほど理解しなくていいのならそれほど難しくない

*2:先生はT字とおっしゃったはずだが、字に書くとTではニュアンスが伝わらない

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