映画『ブリット』

ピーター・イエーツ監督、スティーブ・マックイーン主演の『ブリット』を観ました。

CG無し、正真正銘本物の車でサンフランシスコ市の坂道を縦横無尽に走り回るカー・アクションで知られる映画です。ストーリーの方は正直あまりひねりがなく、(いやー、こんな短時間で解決できないでしょう)と思うところが多々ありますが、そんなことを吹き飛ばすかっこよさでした。

 

そう、この映画はなんといってもかっこいい映画です。暗い室内を写すところから始まるオープニングは黒抜きの文字がスタイリッシュに写し込まれます。一つ一つのシーンは無駄を削ぎ落とさずに比較的長い尺で撮影されます。それはブリット刑事が道を横断するといったシーンにまで徹底され、低いトーンで表現されるサンフランシスコ市の街や、病院の中といった情景を強く印象づけています。

そして全編通して寡黙な刑事たちと、喋りまくる市長。

「仕事ができるやつは多くを語らない」

というのは偏見だと思いますが、この映画はその美学をこれ以上ないほど見事に描きあげています。その場で確認できないフィルムの上に、この最高にかっこいい物語を写し込んだ人々への称賛の気持ちでいっぱいになる映画でした。

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