博士論文を読む

色々調子が上がってきたために忙しくなってあれこれできないことが貯まっています。あべこべですね。ちょっと前まで調子が悪くてあれこれできないことが貯まっていたのですが。

さて、最近面白いことに気がつきました。博士論文、面白いですよ。

 私は一介の技術者にすぎない人間です。それも先端に触れないどころか開発すらしない技術者ですので論文を読むということがありません。いえ、仕事で読まなくとも自分の時間に読む人は沢山いると思われますが、私は不勉強な人間であり、そういうことをしてきませんでした。

ところが、ふとある方の博士論文を斜め読みしてみたところ、とてつもないショックを受けました。よくわかるのです。実に読みやすい。そして自分の中で何となく散らばっていた断片的知識が綺麗に繋がるのです。

種を明かせば読みやすいのは最初の2章の話です。一般の論文とは違い博士論文は先行研究について詳細に書き記します。学位を取るための研究が現在の学問においてどのような意味を持つか。それを明かすには先行研究を調べ、なにがわかって何がわからないまま残っているのか。それがわかるとどのような意味があるかを明らかにせねばなりません。

裏を返せば学位論文の2章を読めば、その論文が書かれた時点での科学の状況とこれから解決すべき課題がわかることになります。そしてここ^が重要なのですが、博士論文は徹底的に推敲と校正が繰り返されています。そこに投入する労働力と集中力は一般書籍では望めない類いのものです。科学の上質な要約に触れることができるのです。これはすばらしい。

そういうわけで、博士論文は本論がまったく理解できなくても2章まで読むと大変楽しい事がわかってきました。論文の中には無償公開されていないもの、英語で書かれているものもあります。しかし、そういったものも学位取得時の審査要旨が日本で公開されているようです。審査要旨2章の要約が含まれているので、やはりお得です。

これからちょいちょい論文を探して読んでみます。

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