39 阿Q正伝

魯迅の第一短編集「吶喊」の翻訳です。

阿Q正伝・狂人日記 他十二篇(吶喊) (岩波文庫)

阿Q正伝・狂人日記 他十二篇(吶喊) (岩波文庫)

まず一つ驚いたのは文体が明晰で調子が強いこと。これは訳者の文体だと言われればそれまでですが、それでも元の漢文の持っている力強い調子がにじみ出ていることも理由の一つではないでしょうか。先に読んだ「廃市」の諸短編が、だらだらとしてわかりにくいのに対して、魯迅のそれは起承転結がはっきりしていて読みやすいです。
また、全体に流れる自他の愚かさに対する苦みにも似た嫌悪感が印象的です。
翻訳ですので紹介するのも気が引けるのですが、「明日」の病気の我が子を心配する母親の気持ちを描いた一節にははっとしました。

単四嫂子の夜明けを待ちのぞむ心は、ほかの人のようになま易しいものではない。

長く読まれるのも頷けます。

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