エロスと文化

タイからトラックバックが飛んできました。

確かに、我が家の1階は2階よりも風通しがよい上に床がタイルなので涼しく昼寝には最適ですが、20代前半の独身女性が薄着でオトコ(私)が通るところで寝ているのも...(苦笑)

古きよき日本の価値観としては、「これこれお嬢さん、そんなところで年ごろの若い娘がそんな格好で横たわるもんじゃない」と、説教をするところですが。
はて。
すこし女性から離れてみると、たとえば食欲をそそるかそそらないかは、かなり文化に依存します。一般に日本人は犬を見ても「おいしそう」とは思いませんが、国によってはたぶん思いますよね。まじめなユダヤ人ならカニを見ても「蜘蛛の親戚が歩いている」くらいにしか思わないはずですが、日本人の成人男性の場合、「醤油で煮ようかせいろで蒸そうか」くらいは考えるかもしれません。人によってはひっくり返して内子や外子があるか調べるでしょう。
以前、ステーキハウスで隣に座った家族の前で調理人が生きたイセエビを熱い鉄板の上で縦に真っ二つにしていました。若い親がにこにこしながら子供に「おいしそうだね」と話しかけていましたが、アレをロンドンでやると、失神する女性がいるかもしれません*1
食欲は文化に依存します。同じ消化メカニズムを持っていても。性欲は文化に依存するでしょうか。すると思いますよ。同じ生殖メカニズムを持っていても。
最近はそうでもありませんが、日本女性は人前で乳房を出して授乳することを「恥じてはいけない」という文化があります。一方、日本男性は授乳中の女性を見ても「欲情してはいけない」という強烈な文化的縛りがあります。男のほうがハードルが高いですね。女性が恥じてもばれませんが、男は欲情するとばれますから。
これはある種の国の方には相当ショックだったと聞いたことがあります。「日本人は女性が人前で乳房を出すことに欲情してはならなかった。だから、女性のうなじという特殊な部位に欲情するようになった」なんて話を読んだことがあります。ほんとかね。なんにせよ、古い写真に海女さんが胸をだして写っているのを見ると、日本の女性は胸を出しても性的な興奮を呼ばないが、内股を晒してはいけないというように考えていたかもしれません。女性がそう考えていたのなら、それは、男がそう行動していたということでしょう。
そのうち紹介しますが、今読んでいる本にイギリスの某教授がヒッピーに「これだけ大きな若者の集団に、ベッドに連れて行きたいと思う者が、男女を問わず一人もおらんとは、とても信じられん」となげく場面があります。この先生は性行為をぶつかり合う肉体競技ではなく、とろけるような精神的交歓と考えていたのだと思えます。だからこそ、ベッドの相手は交接可能性だけではなく、自分の趣味と要求をきちんとクリアしていないといけない。
司馬遼太郎の小説の中にも、山内容堂が公家から嫁をもらった際、古典をまったく知らない女だったので考えていたような雅な世界が開けなくて布団の中でがっかりするシーンがあります。史実かどうかは別として、そそる、そそらないがホルモンだけに支配されるわけではないというのは、割と言えるのではないかと思われます。女性のある格好が男性をむやみに刺激するかは、その文化に依存するのではないでしょうか。
というわけで、akuninさんには、「タイがどうかによるんじゃないでしょうか」としか言えません。とはいえ、それではあんまり短いので、ちょっとだけ付け加えましょう。
タイ女性に詳しいのは私ではなくakuninさんですよ。

*1:日本食レストランで客の前ですっぽんの首をはねたところ、訴えられたという話を新聞で呼んだことがある

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