iPhoneは(とても)売れるだろうという話

ようやく日本でもソフトバンクからiPhoneが発売されることとなりました。個人的にはiPhoneが売れようが売れまいが心底どうでもいいと思っている私が、iPhoneがどのような層に売れるのか考えて見ます。

中高生は眼中にない

iPhoneはおしゃれを訴えるガジェットです。持っているだけでおしゃれな女になれるのです…というのが錯覚であるとわかっていても、持つ喜びを異様なほどくすぐります。むしろガキが持っているとマイナスイメージです。
想像しにくい人もいるかもしれませんが、かつて携帯電話は金持ちの象徴でした。嘘だと思ったらオリバー・ストーンの「ウォール街」を見てください。あごの割れた大金持ちが海岸で短パンで弁当箱に向かってしゃべっています。その弁当箱が携帯電話です。大金持ちしか買えなかったのです。あの映画が出たころ、日本の若者の誰一人として、携帯電話がこれほど普及するとは思っていなかったのです。ある種の人は、持っているだけでその物のステータスを落としかねません。万人に売れるというのはいい事ではありません。
Appleはガジェット屋として異例なほど持つ喜びをくすぐります。もう10年くらい前から言っていることですが、彼等のマーケティングはコンピュータ屋よりアパレル屋を感じさせます。そんな彼等が期待するのは、日本の今の携帯にあきたらないものの、ほかにこれと言った選択肢もないので仕方なく日本製の携帯を「ダサい」と思いつつ使っている人たち。その人たちが一斉に、あるいは時期を見て寝返ることこそがAppleの狙いです。

料金体系が高いなら、使わなければいい

フルブラウザがパケットをがんがん食うなら、四六時中弄り回すのをやめればいいことです。そもそも私にはパケ死ってのが理解できないのですが。必要なときだけグーグルマップや何ヤラでしゃきっと決めて、暇つぶしは文庫本でも読んでいればいいのです。それが社会人というものです。
Appleが開拓したいのはその日のパケット代にも事欠くような携帯奴隷層ではなくて、パケット代をケチってでもAppleからガジェットを買いたいというApple奴隷層なのです。
そもそも、iPhoneは「持つ喜び」で注目されたのであって、使う喜びなんか二の次です。

フルブラウザYouTubeなどの諸機能は、使えればOK

携帯サイトというひとつの文化圏は、あまりに日本臭がきつくてAppleが狙う層とは重なりません。「やっぱりAppleだよねぇ」というネオ舶来カブレさえ押さえれば十分。Felicaなんかかざりです。偉く無い人にはそれがわからんのです。
四六時中携帯サイトに没入する必要なんか無いんだし、必要なときにはフルブラウザでささっと情報を入手すれば済みます。そういう賢い使い方ができる人にこそ広告塔として使ってほしいと、Appleマーケティングは思っていることでしょう。
良く考えたら携帯サイトなんか要らないという結論に達してしまいます。

iPodケータイ」として定着するかはどうでもいい問題

iPodとして使う人が多いかどうかは問題では無いのです。何が何でもiPhoneじゃないと嫌だという人が増えるかどうかが問題。実際のところ、首都圏ではワンセグよりiPod携帯のほうがウケそうに思います。電車の中でまで見たい番組なんか、通勤時間にやってないし。時間つぶすなら深夜番組の録画を見るほうがずっと楽しいです。
Appleにとって重要な事は、そんな事ひとつとっても、「iPhoneならおしゃれ」という錯覚が広くいきわたることです。錯覚さえいきわたれば、それを多くの人がやろうが投げ出そうがどうでもいいことです。

日本語入力が貧弱なら英語を入力すればいいじゃない

携帯電話でメール打ちまくってるのは、携帯奴隷ですよ。まともな社会人なら、必要な連絡程度です。で、必要な連絡程度なら別に日本語が打ち難かろうがどうでもいいことです。

まとめ

ぶっちゃけ、Appleみたいなユーザーないがしろ企業*1が成長するのは、Appleなら何でもいいと考える分厚い信者層が存在し、その層をAppleが長年くすぐり続けているからです*2iPodの登場は新しい分野にこの信者層を作り出し、その信者をWindowsからMacに鞍替えさせる事に成功しました。Apple製品は持っているだけで幸せになることができる、最強の幸せのペンダントです。おしゃれな製品を日本企業が作っても誰も見向きもしないのに、Appleがやるとみんなが振り向く。同じアイデア東芝が形にしても誰も相手にしないのに、Appleがやるとみんなが目を輝かせる。
新奇でおしゃれな空気に反応する層は、みんなAppleにかかえこまれているのです。日本向けiPhoneは、末期のアンモナイトのような異常な進化*3を遂げた日本製携帯を嫌々使っている層を総ざらいするでしょう。

みんなショップに走れ

とりあえずこうやって、「iPhoneは売れるかもしれない。買えるうちに買わなければ」という空気が広がれば、しめたものです。売れ残った最強ケータイX02NKが叩き売られ*4、うまくすれば私が半値で買うことができます。そういうわけで、みなさん、禿TELに走れ。

*1:昔の話をしつこくネに持っている

*2:暴論

*3:進化と進歩は違う

*4:年間4億台売っているNokiaがそんなアホな在庫管理するわけないですが

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