「かぐや」の撮影した写真にクレーターの名前を入れてみた

先日月探査衛星「かぐや」搭載のハイビジョン・カメラによる映像が公開され、話題を呼んでいます。
「かぐや」はまだ試験運用中であり、搭載機器のチェックが進められていますが、その間を縫って撮影した映像です。公開された動画は8倍速ですが、これが1/8に間引きした結果なのか、はじめからコマ撮りなのかは分かりません。「かぐや」のミッションを考えればコマ撮りでも十分な気がします。発表された動画は圧縮率が高く、また、サイズも縮小していますが、音のない荒涼とした世界が間近に感じられて感銘を受けます。
サイズを縮小していない静止画も3枚発表されていますが、そいつがまたすごい画質なのでうれしくなります。醒めた見方をすれば、月の写真なんかアポロがそれこそ数え切れないほど大判の写真を持ち帰っているのですが、あれは地球へ帰還するプロジェクトでした。もう、撮影できないわけです。これから要求に応じてどこでも撮影できることを考えると、やはりこれらの写真は感慨深いです。11月14日にはNHKの「かぐや」紹介番組が放送されますので期待しましょう。
さて、三枚の静止画のうち一枚は、横から陽が差しているため月面の凹凸が強調されて立体感がよく出ています。せっかくですのでこの写真に地名を入れてみました。

参考にしたのは

などです。
月のクレーターはよく言われるとおり、隕石口あるいは火山の噴火跡と考えられています。だいたい隕石口ですね。底が平たいものは、隕石口下から溶岩が湧き出て埋めたものと考えられています。で、隕石ですから古い隕石口の上に隕石が落ちて新しい隕石口ができることも当然あります。写真手前(南)のBrianchon(ブリアンション)などが典型です。あとからできたBrianchon Aが、Brianchonを取り囲む壁を叩き壊しています。
また、地球の山と同じく、できて間もないクレーターはギザギザしており、一方で古いクレーターは侵食(JNZさんより「侵食」は適切な用語なのかと言う疑問をいただいております)を受けて丸い地形になっています。写真で言えば、Pascal Fはとても新しく、Brianchonは古いクレーターに分類されます。
写真の地域は地球から見えるか見えないかです。この写真で言うと地球は右側にあり、その位置はほとんど変わりません。したがって、これらはとても大きな望遠鏡を使っても、月の端っこに線のようにしか見えないクレーターばかりです。こういう角度で見るには人工衛星を飛ばすしかありません。端っこにあるため、扱いの悪いクレーターもあります。たとえば、Poncelet CはPonceletよりほんわずか小さいだけです。十分独立した名前をもらえる大きさなのですが、実情は「Ponceletクレーターの近所にある小クレーターのひとつ」という扱いしか受けていません。
その、Poncelet Cの直径は67kmもあります。国道16号線の内側、つまり関東平野の主要部分がすっぽり入る大きさです。
地平線付近に見えるHermiteのすぐ向こうは北極点です。
(追記:当初Brianchon Aを誤ってBrianchon Bと表記していました)

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