面白さを伝える努力

話題のエントリです。何が話題かはさておいて、以下の一節はいろいろと思うところあり。

ソフトウェアはモノではないからイメージしにくいというのは昔から使われていた言い訳である。先日NHKで放送された、「ポアンカレ予想」の番組は数学というもっと抽象的なものを見事に具体的イメージとして表現していた。プログラミングの楽しさ、面白さをもっと伝える努力がこの業界には圧倒的に足りないのである。問題と感じていないことが問題なのである。

「何が面白いのか教えてください」と、内部の人に言われると「手前ぇで勉強しやがれ」と思う一方、無垢で純真な子供達を如何に騙して甘く切ない電子工学の地獄に引きずり込んでやろうかと日々考えている酔漢です。こんにちは。
最近は電子工作系の出版物も団塊狙いの匂いがそこはかとなく漂っています。それはそれ、同好の士を増やしたい、潜在的な人口を増やして勢いを盛り返したい、それ以前に売り上げが大事という気持ちもわかります。でも、ぶっちゃけあの人たちはもうすぐ死んじゃいますから。私自身に絞った話をすれば、自分が棺おけをそろそろ意識する歳になったというのに、自分より早く死ぬ人たちに伝授しても仕方ないです。とかいうと、今やりとりしている方々に申し訳なかったりしますが。
昔読んだパーネルかニーブンのSFだと思いますが、巻末にハインラインと著者が交わした会話が訳者によって紹介されていました。

「あなたに恩返しをしたい。どうしたらいいんだろう。」
「君が私に恩を返すなどできないよ。」
「えっ」
「誰にも恩など返せないのさ。受けた恩は若い人たちに与えたまえ。」

こんな感じだと思います。結構ぐっと来ました。
棺おけに持っていくのは何がしかの思い出だけでかまわないので、身につけた技術や知識はこの世においていこうと思っています。そのためには、どれだけもがいても絶対外れない鋭い釣り針に甘い餌をつけて糸をたらすしかないと思うのです。
甘いエサ、残酷なカエシ。そういったものを文字にするにはどうすればいいのかなぁと考えています。無論、そんな利他的な話だけではありません。甘いエサとなる話は、同好の士と呑む酒の肴にすれば酒がうまくなりますから。

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