法的拘束力のあるベンチマークテスト

浜の真砂は尽きるとも、世にベンチマークの種は尽きまじ*1

グラフィックスから計算まで、エロイのから幾分火薬と言うか核臭いのまで、コンピュータのベンチマークはそれこそ星の数ほどあります。その中で、いったい法的拘束力を持つものと言うとどれほどでしょう。
複合理論性能*2」は、日本国内で法的な力を持つベンチマークです。このベンチマークはプログラムの実行ではなく机上の計算によって求められ、正式な文書として役所に提出されます。
目的は輸出規制とエネルギー節減です。
前者のための複合理論性能は輸出令第8項貨物等省令第7条1項三号の中で定められています。また、後者のためのそれはエネルギーの使用の合理化に関する法律施行規則*3の別表第四に定められています。そしてこの二つは、実はワッセナー・アレンジメントのコントロール・リストを基にして作られています。
日本の輸出規制の方針が武器技術の国際的な輸出規制を定めたワッセナー・アレンジメントを基にしていることは驚くに値しません。省エネ法がそれを流用しても驚きません。しかし、輸出規制と省エネ法が定めている複合理論性能は、全く文面が違いますよ。読み比べてみてください。表現が違うなどといった次元の話しではありません。
輸出規制のほうは、訳しながら面倒なところを端折ったり、気を利かせて文を追加したり、元の文章構造を壊して再構築したり、誤訳があったりとイイカンジの超訳です。
対して省エネ法のそれは「省エネ」という略称から受ける現代的なイメージとはかけ離れた、法律臭がぷんぷんする文体です*4
そしてどちらも原文よりはるかに読みにくい罠。なんだかこう、コピペで済ませりゃいいのにわざわざ違うものにする労力を考えると、脱力します。ご苦労な話です。つか、税金の無駄使いヤメレ。そんでもって、毎度毎度混乱する国民の身にもなれ。

*1:オリジナルは石川五右衛門の辞世の句

*2:単位はTOPS

*3:いわゆる省エネ法

*4:昔読んだ電波法令抄録を思い出す

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