わくわくさせる、小さな虫

生物学の研究者が、本業の合間にふと息抜きに覗いたコケにいた小さな生物、クマムシ
1mm程の大きさも無いこの小さなムシとの出会いから始まり、話は飼育方法の模索、ライフサイクルの観察へと広がり、クマムシ学が楽しい口調で語られます。
クマムシはテレビで取り上げられた事があるらしく、「干からびても水に浸すと生き返る」「放射線に強い」「真空にも耐える」といった、なかば都市伝説的な話に彩られているムシです。ムシといいつつ節足動物門に属さず、クマムシだけで緩歩動物という門を構成する実に不思議なムシです。こんな生き物が題材であるだけで、この本が面白くなることは半分決まったようなものです。
しかしながらこの本の一番の特徴は「楽しさ」でしょう。本職ではない*1分肩の力が抜けていることも手伝ってか、著者の好奇心あふれる人となりが伺えるような楽しい本になっています。全体を通して「ね、クマムシ。かわいいでしょう」という雰囲気が流れていて、楽しみながらあっという間に読み通す事ができました。
お奨めです。

*1:これは間違い。もう本職のようです。

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