本当は12巻も発売と同時に買っていたのですが、ストーリーの流れから気分的に感想を書くことができませんでした。
- 作者: ゆうきまさみ
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2006/04/05
- メディア: コミック
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- 作者: ゆうきまさみ
- 出版社/メーカー: 小学館
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バーディー新シリーズで繰り返しバーディーの夢に現れてきた「壊れた人形*1」のイメージ。この背後にバーディーのつらい経験があるのであろうことは容易に想像できました。その経験が12巻13巻を通して描かれます。
12巻で語られるストーリーは、読者がそれまで断片的に与えられたイメージから組み立てていた予想をさらに悪いものにするものです。生い立ちからして不幸であるのに、それを感じさせないバーディーの明るさ、そのバーディーを懸命に育てる人形の暖かさ。描かれるのは小さな幸せですが、読む側が悲劇的な結末を予想しているだけに、描かれる幸せの小ささがこたえます。
さて、
- バーディーは戦闘者である
- 壊れた人形のイメージが繰り返し与えられた
- バーディーがその人形の名前を叫んでいた
ことから、私は勝手に「バーディーが誤って自分の大切な人である、その人形を壊した」のだと想像していました。おそらく作者は意図してそういう描き方をしたのでしょうし、読者の多くもそういう結末を想像していたのではないでしょうか。
しかし、13巻のクライマックスでその予想は幸いにも裏切られ、人形はテロリストの送り込んだバーサーカーによって壊されます。バーディーにとっては不幸でありながら、読者にはほんのわずかな救いのある結末でした。
読者に最悪の想像をさせ、それに向かってじわじわと直線的にストーリーを落としていきながら、最後に小さなどんでん返しを描く。ゆうきまさみのストーリーテラーとしての力に改めて舌を巻いたエピソードでした。
そしてまた、やっぱりこの人はオヤジを描くのがうまいと思ったエピソードでもあります。それがトカゲ人間とバッタ人間のオヤジであってもいい味が出てるんですわ*2。