相変わらず面白い後藤さんの解説記事。
CPUのマイクロアーキテクチャの要(かなめ)となるuOPs。そのuOPsに着眼すると、Core MAは、これまでのIntel CPUと全く逆の方向へと向いたアーキテクチャであることがよくわかる。AMDは、K7/K8アーキテクチャで、すでにある程度似たような方向へ向かっていた。これもまた、トレンドで、CISC対RISCの論争がはるか後ろへと遠のいたところで、再び、CISCへと揺り戻しの時代がやってきたようだ。
Coreアーキテクチャが高い性能/消費電力比を保っているのはuOPをRISC志向からやや戻してCISC風味にしたからだとのこと。ただ、これを以って「CPUアーキテクチャがCISCへゆり戻している」と表現するのは勇み足です。
COREアーキテクチャが性能/消費電力比の高さを喧伝できるのは、デスクトップ・コンピューティングの世界の話です。この世界ではシングル・スレッドの能力に譲歩できない足かせ*1があり、後方互換性の中でシングル・スレッド能力を底上げするためなら何をしてもいいと言う風潮がまだまだ優勢です。
デスクトップ・コンピューティング*2から離れれば、少ない面積で高い性能を実現できるRISCの優位は揺るぎません。C言語で開発が行われる市場についてはRISC対CISCはRISC勝利で遠い昔に決着が付いています*3。世間の趨勢としては数年ごとに突発的に現れる市場にワイヤードロジックやVLIWによるアクセラレータで対応する方向が主流です。
後藤さんのコラムは間違った事を書いていませんが、それはあくまでデスクトップ・コンピューティング、極論すればIntel対AMDの文脈でのことです。PC Watchの記事なので当たり前ですが、あまりにも一般論のように読めるので*4。