ビデオレコーダーについて時折熱く語られるのがCMスキップ機能です。古くはCMに音声多重が使われていないことを利用したCMスキップ実装がありましたが、CM制作会社が顧客を脅したのでしょうか、すぐに音声多重CMが主流になってせっかくの製品が役立たずになってしまいました。TV局は「広告費は貴重な収入源」といいますが、製作は下請けに安く丸投げ、てめえらは金勘定だけって局ばかりですから、見る側はしらけますよね。
CM空気読め、と思うこと多々あり。
さて、ビデオレコーダーに高精度のCMスキップ機能をいれる方法はあります。ネットを使えばいいのです。テレビ関連のネット利用と言うと、いつまでたっても誰もキラーアプリケーションを思いつかない双方向番組や、番組表配信があります。しかし、いずれもお仕着せのサーバーとお仕着せのコンテンツばかり。視聴者に選択肢はありません。
そこで、これをひっくり返しましょう。視聴者が番組の時間軸にマークアップしていけばいいのです。「ここはCM」「ここは番組」「オープニング」「エンディング」「予告編」「エンディング替わった」等など。これをユーザーが交換すればいいじゃないですか。一人によるマークアップでは間違いやつけ忘れがあっても、1000人のマークアップなら信頼性が高くなります。
はてなタイム・マーク（仮称）
はてなタイム・マークは番組の時間軸につけたタグをユーザーが交換するサービスです。パソコン録画した番組に[CM]や[オープニング]等のタグを貼っていきます。貼り付けたタグはオンライン時にはてなのサーバーと同期されます。
自分が番組を見るときには、その番組のタグをあらかじめはてなのサーバーから取り込みます。番組再生プログラムは、数千人によるタグを統計処理して、CMのスキップをほぼ自動でやります。CMに入ったら早送りし、CMが終わりそうになったら早送り速度を落とします。
アルファ・マーカー
当然、ある種の企業は社員を投入して情報の質を落とそうとするでしょう。心配ありません。見終わった後、実際のCMやオープニングと、タグとの間で比較をすればいいのです。まじめなマーカーたちは正規分布を描きますが、妨害者たちは白色雑音のように散らばります。そこで、自分がCMやオープニングにつけたタグを基準信号にして、彼らに相関による評価値を自動でつけます。ユーザーIDごとに評価値は累積され、やがては自分のお気に入りマーカーたちが浮かび上がってきます。多くの人から高い評価値をつけられているマーカーはアルファ・マーカーと呼ばれるでしょう。
お隣ユーザー
自分が高い評価をつけたマーカーに高い評価をつけた別のユーザーは、自分と同じ傾向の価値観を持っています。こういったお隣ユーザーを蓄積して、彼らによるマーカー評価を重く見るようにします。そうしておけば、アルファ・マーカーの評価を下げようとしたり、あるいは偽のアルファ・マーカーを擁立しようとする妨害者たちを効率よく排除できます。
マークの売買
一夜明ければ高い精度でCMをスキップできるかもしれません。しかし、放送終了30分後にタグを打ってくれている人は何人くらいいるでしょうか。マークを売買できるようにすれば、アーリー・マーカー達を奮い立たせることが出来るでしょう。価格は自分で設定できますが、放送終了直後からゆっくりとシステムによって価格が緩和されるため、早期マーキングに力を入れる人は増えるでしょう。12時間程度たつと、アルファ・マーカーのタグも0.1円程度で買うことが出来ます。もっと安く売る人もたくさん現れるでしょう。
有用な情報は高く売れる
お気に入りマーカーたちにも浮沈があります。ある人は出張に出かけてマーキングを止めるでしょう。ある人は恋の病にかかってマーキングがおろそかになるかもしれません。ある人はガンプラに手を出して音信を絶つかもしれません。マーカーが自分の詳細な情報を高く売ることが出来ると面白いかもしれません。1回の閲覧5円で過去1ヶ月、1週間の評価値の遷移を見ることが出来るなら、お気に入りを高い精度に保ちたいユーザーは躊躇せずに払うでしょう。
評価の高いCMなら見てもらえる
CMスキップは現在の無料放送の質を落とすという声がありますが、その前に質の低いCM垂れ流すんじゃねぇぞボケ、といいたい人はたくさんいるんじゃないでしょうか*1。見たくないCMだから飛ばすのです。久々のいいドラマと思ってしんみりしているときに、熱演中の主演男優がCMに出ていたらげんなりするでしょう。
製作費にかかわらず、できのいいCMならば高い評価をマーカーたちに与えてもらえます。これで困るのは口八丁でクライアントをだましている広告代理店だけです。まじめな代理店やクライアントはこのようなシステムをむしろ歓迎するかもしれません。
しないかもしれないけど。
