昨日紹介したシュレーディンガーの猫に関するページを公開している南堂久史という方、この方の別のページを読むと、いっそうトンデモ、というか疑似科学臭さが漂ってきます。
早分かりの冒頭で、ダーウィン主義は間違っていると断じています。白状するとこの方の文書を全部読んだわけではありません。読まずに批判しているのは、 あまりにもあちこちガタガタだからです。たとえば、より詳しい文書として用意されている概要は、しょっぱなからぐだぐだです。
まず、生存競争と言う言葉をそのまま捕らえていると思われる点。ダーウィン主義は個体が直接常に争うという考え方ではありません。環境への適応が世代間を経ての生き残り数に現れるのです。この場合、適応と言うのは闘争における勝利ではなく、子孫を増やすことですから、仮に利他的なほうが生存しやすければ、淘汰によって利他的な面が濃い種が生き残りえます。このあたりの理解がおかしい。
それから
さらに、論理的にも、「利己的な遺伝子」説は矛盾をかかえている。なぜか? この説は、「遺伝子は自己複製をするのが目的だ」ということを原理としている。そこで、もしこの説が正しいとすれば、生物にとっては、完全なる自己複製をもたらす無性生殖が理想になるからだ。しかるに、無性生殖というのは、有性生殖に比べれば、著しく劣った方法だ。著しく劣った方法を、「これぞ理想の方法」と考えるのは、おかしい。
おかしいのは南堂氏の理解であって、有性生殖が優れていると考えるというのは、ちっともおかしくありません。単一の遺伝情報のコピーだけだと単一の淘汰圧力で全滅します。バリエーションがあるほうが淘汰圧力に対して有利なのです。有性生殖が淘汰圧力化で無性生殖を制圧したのは、自己複製を増やすという方向ゆえのことだと容易に理解出来ます。
こんな感じでちょっと読んではすぐ変なところに引っかかるため、到底全部読む気になりません。
さらには、ご丁寧にID進化論を擁護しています。
二言目には論理論理とおっしゃる方ですが、この方の論理は都合のよい空想に近いと感じます。
どちらも主張は勝手ですが、あちこちつめの甘い「新理論」が「すばらしく理解しやすい初心者向け解説」として多くの人に受け入れられているのを見ると、なんだかなぁと感じます。