「やれることからやる」という勘違い

夏時間の法制化は非常に反対しにくいです。なぜかなれば、法制化するというその根拠が極めてあいまいだからです。1999年の試算では石油50万Klの節約になる*1としていますが、2001年の年間石油消費量は2億3700万Kl*2で、効果はわずか0.2%です。0.2%なんてのは誤差以下としか認められない数字で、こんなもののために全国民に年二回混乱を強いるなどというのは正気の沙汰ではありません。
最近になって第一生命経済研究所サマータイムの経済効果は1兆円を超えるというレポートを出していますが、(レポートの信憑性は別にしても)この辺の浮かれ具合を見ると、あんたたちは金儲けがしたいのか省エネをしたいのかと問いかけずには居られません。
経済効果などと言うと聞こえはいいですが、要は国民を揺さぶってポケットから小銭を落とさせようということです。
0.2%という微小な数字が無理やり押し通されている背景には「やれることからやるのだ」という環境保護の錦の御旗があります。しかし、一度でも企業に勤めてなにがしかの改善運動に取り組んだことのある人なら、これがどれほどの勘違いかはわかるはずです。改善と言うのはやれることからやっても意味がありません。
最悪の部分から改めないとだめなのです。
いくら自動車の燃費を改善しても、細い道を何万台もの車がのろのろ運転しては意味がありません。ただでさえ混雑するのに政府の皮算用どおりに人の波が外に繰り出せば何がおきるのでしょうか。ヒートアイランド化した大都市では、早く帰ればエアコンをつける時間が長くなるだけです。
サマータイムの導入は、本来手をつけなければならない部分から目をそむけ、大部分の国民に効果のない無理を強いて自分たちだけさも仕事をしたような気分になる、行政・立法者の自己陶酔でしかありません。
導入は阻止すべきです。

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