高速掛け算メソッド

ちょっと前に評判だったらしい高速掛け算メソッドを今頃知ったわけですが、この方法の面白いところはリンク先にも書いてあるとおり、徹底して掛け算と足し算を分けてしまうことです。こうすることで掛け算九九のリズムを崩すことなく多桁の計算を行えるのがミソです。
小学生のときに習った筆算では、3桁×1桁の掛け算は、1桁の掛け算と繰り上げを交互に繰り返して一気に答を計算する方法でした。しかし、高速掛け算メソッドでは3桁×1桁の掛け算であっても、1桁の掛け算*1を先に全部済ませてから最後に足し算を一気に行います。言葉にすると面倒ですが、何のことはありません、こちらのほうが自然な筆算です(図のa参照)。

ただし、この記法だと3桁×3桁の場合中間結果が9行にもなってしまい、間違いやすくなります。そこで、N桁×1桁の中間結果が本来N行になるところを、記法を工夫して2行に押しつぶしたのが通りすがりの業界人氏のやり方の巧妙なところです(図のb)。そして氏はさらに中間結果の上の行と下の行をひっくり返します(図のc)。こうした理由は直感的にはわかりにくいところです。しかし、直感的にわかりやすい事を理由に繰り上がりの桁を上の行にすると、多桁同士の掛け算のとき、中間結果の左側に凹凸が出来てしまい、不注意から足し忘れがおきる危険性もあります。繰り上がりを下の行に置いたのがその対策ならば、実にうまい手です*2

縦の罫線

この方法を試してみて、実によく出来ていることに感心しました。さらにいくつか工夫するともっと使いやすくなります。
算数のノートは罫線が横に引いてあります。繰り上がり分離法は中間結果が普通の筆算の倍の行数になるため、筆者のように悪筆だと文字が縦にきれいにそろわず、計算し難くなります。そこで罫線が縦になるようにノートを使うと、計算が楽になります。

ちょうど10になる組み合わせを探す

昨日のコメントでChuckさんが示唆しているのはこれなのかもしれません。繰り上がり分離法は縦の足し算が増えます。そこで全体の足し算を始める前に、各(縦の)列から、足し合わせるとちょうど10になる組み合わせを探します。探し出した組には印をつけ、見つけた10になる組の数*3を次の桁への繰り上げとしてあらかじめ記録しておきます。下の図で説明すると、赤と青がそれぞれ縦の列の中で和が10(ものによっては20)になる組です。実際の筆算では○印でもつけておきます。そしてそれらの組による繰り上げが、下から二本目の横線の下に記録してあります*4

最下位桁から本番の足し算を行うとき、上で印をつけた数は無視します。縦に足し合わせるのは印のない数と、10になる組からの繰り上げを記録した数です。こうして各桁の答を次々に下の桁から計算します。計算途中で繰上げが発生したら、図の一番下の線の上に記録しておきます。これで繰り上げの間違いを減らせます。
最終的な足し算の繰り上げ用に2行余計に用意することで計算の誤りを減らせます。あまりにも面倒だと思う方は、小細工なしに足し合わせてもいいでしょう。

*1:つまり九九

*2:その後、ご本人からのコメントをいただきました。やはり凹凸を嫌ってひっくり返したとの事です。

*3:もちろん、和が20になる組は2と数えます

*4:この繰上げを次の桁の「10になる組」の数として使ってもかまいません

/* -----codeの行番号----- */