エントロピー

前々から持っていた疑問への回答を見つけました。

「リサイクルをすると却って環境への負荷が高まるんじゃないか」という疑問に対して明確にこの方は「そのとおり」と答えています。

PEのマテリアルリサイクルに20円乃至50円のプロセス代をかけるということは、それに相当するエネルギーを消費するということである。PEから12円/kgの重油を作ることは、意味がないどころか、環境に余分の負荷をかけたことになるのである。

「節約のために何かを別の形に作り直すとき、そのためのエネルギーは節約しない場合よりも浪費になることがある」というのは、エントロピーの概念をある程度理解していれば、直感的に思いつく話です。これは環境保護運動の立場で見ると、背筋が凍るような結論に結びつきかねない問題です。たとえば、「トキの保存活動による環境負荷は、救われたトキよりも多くの鳥を殺しているのではないか」という推論に容易にたどり着きます。鳥を殺すというと範囲が狭いですが、鳥を生物に置き換えると、おそらくは正しい推論です*1
しかし、だからといって分別回収が無駄ということではありません。

ポリエチレンには、まだ燃料として役に立つ余命が残っている。ポリエチレンは、石炭類似の化学式を持ち、発熱量が高いから、石炭並みに燃すことが出来る。それを使い切ることが、PEの有効利用なのである。PEを埋め立てたり、マテリアルリサイクルすることは「モッタイナイ」のである。

分別回収が日本の津々浦々までいきわたり、次の世代への環境教育が軌道にのったらば、次はこういったことまで考えた新しいリサイクルを考えねばなりません。

*1:これは保護運動すべてにとってのブレーキではありません。環境保全は、残っている自然に手をつけるのをやめるという立場であればそうとう有効です。しかし中国から別のトキを輸入したり役人が何回も視察したりといったことに消費されるエネルギーを累積すると、能動的な保護活動に対しては常に疑問符がつきます

/* -----codeの行番号----- */