今度こそ惑星の直接撮影?

以前紹介した異形の惑星―系外惑星形成理論から (NHKブックス)は、系外惑星と呼ばれる「太陽以外の恒星の周りを公転する惑星」の発見と、それによっておきた惑星形成理論の組みなおしの胸躍る話をやさしく解説した好著でした。
さて、この本で解説されている惑星は、すべて間接的な観測から発見されたものです。言ってみれば誰も犯人を見ていないのですが、あらゆる証拠がそこに犯人が居たと語っているような観測方法です。そこで当然次のステップは「直接見たい」ということになります。
見るといっても現代天文学は人間の目で見える世界のはるか向こうを行っています。見るというのは写真に撮ることを意味します。太陽以外の星を回る惑星の写真を撮りたいと、多くの天文台が競争していました。
あまりに競争が激しかったせいか、短期間でいくつか勇み足がありました。たとえば今月の頭前後には、

と、二件「惑星の直接観測か」と取れるニュースが流れました。ニュースはその後訂正されていますが、勇み足が発見者によるものか、報道者によるものかは素人である私には少しわかりにくいところです。先の本でも本当の発見に至るまで発見が報告されては否定されるというこのと繰り返しだったと書かれています。最先端のきわどい世界はそんなものかもしれません。
さて、星の情報.jpの2005年5月1日付けニュースにESOが系外惑星の直接撮影成功を発表したと報じられています。

「今度こそ惑星だ」というタイトルがこれまでのごたごたを象徴しているようです。ざっと読むと昨年撮影した「惑星候補」の研究を続けた結果、褐色矮星の周りを天王星の倍程度の距離で公転する惑星だとの結論に達したそうです。質量は木製の5倍だそうで、だとしたら本当に惑星かもしれません。
今後どんなコメントがつくか注意が必要ですが、ついによその星の惑星まで見えるようになったかと感慨深いです。
写真の撮影はチリ北部のアタカマ砂漠パラナル山にあるヨーロッパ南天天文台で行われました。ここにはハワイにある日本のすばる望遠鏡並みに巨大な望遠鏡が4基もあります。到底われわれ一般人がアクセスできるところではありませんが、v4641sgrさんによる滞在記をこちらで読むことが出来ます。

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