99年ごろ、廃案に追い込まれたサマータイムがまた法案として提出されそうです。最近小寺氏のコラムで取り上げられたので読んだ方も多いと思いますが、なぜしつこく法案が出されるのか理解に苦しみます。たぶん、どんな悪法でも法制化すると議員の手柄になるのでしょう。
とにかく反対の声を上げないとうやむやのうちに法制化されそうなので、ここで声をあげることにします。サマータイムに関しては反対派を含めて妙な意見がたくさんあるので、一つ一つつぶしていきます。
省資源の眉唾
賛成派の意見のひとつに「サマータイム時間によって電気を節約できる」というものがあります。根拠としては
- 就寝時間が早くなるため、電灯をつける時間が縮む
という点が上げられています。これがもう、怪しさ満点です。照明の節約=電気の節約になったのは、エアコンのない時代です。床に就く時間が早くなるということは、就寝中の寝苦しい時間が長くなることにほかなりません。エアコンをつければそれだけ電力消費量が増えます。
通勤が楽になるという眉唾
「朝早く通勤すると涼しい」という声を聞いて頭がくらくらしました。夕方日の高いときに帰宅すると暑いじゃないですか。
経済波及効果の眉唾
「京都議定書」にもとづく二酸化炭素抑制を旗印に省エネを訴えるサマータイムですが、導入コスト1000億円*1に対して、「余暇の増加による数千億円の経済波及効果」を見込めるとしています。その分、二酸化炭素が増えている点を突っ込まずにはいられません。エントロピーは増加するのです。
豊かな生活の眉唾
ボストンにいたとき、サマータイムのおかげで帰宅後も買い物に出たり食事に行ったりと楽しむことが出来ました。仮に日本でコレをやるとして、ラッシュ時の道路に余暇を楽しむ人の車が加わるのですか?正気ですか?
田舎であれば問題ないでしょうけど、GNPの大部分を生み出している都市労働者にさらなる苦痛を味あわせて豊かな日本を築くなど、笑わせてくれます。
家族との時間が増えるという眉唾
「暗くなると家族との時間を作れない」という家庭はゆがんでいます。家庭のゆがみは国策ではなく家庭で解決してください。
諸外国では導入して効果が上がっているという眉唾
導入している国が効果が上がっているといって鵜呑みには出来ません。行政が自ら「ええ、効果が上がるどころか逆効果なんですけどね、惰性で続けています」なんてことを言いますか?
生活を複雑化する意味はない
サマータイムを導入すると確実に生活が複雑化します。「年に二度時計を修正すればいいのだから簡単」という人は、あまりに純朴*2すぎます。
- あなたの家にはいくつ時計がありますか?ビデオ、PC、目覚まし時計、壁掛け時計、腕時計、携帯電話、車の時計、カーナビの時計、ラジオの時計、ケーブルテレビのセットトップ・ボックスの時計、etc。全部一度に変えますか?
- あなたの職場のPCの時計は誰が管理しているのですか?
- PDAの時計はいつ変えますか?スケジューラーのアラームはどうしますか?
- どの時計がサマータイムに切り替わっていて、どの時計が切り替わっていないのでしょうか。
- 切り替え日の深夜番組の録画はどうするのですか?
- 深夜0時を超えて運行する電車はどうするのですか?
- 日時計のモニュメント、どうしましょう(あははは)。
- 腕時計と太陽の位置で方位を測る方法、15度ずれちゃいますね。
変えなければ単純に生活できるものを、なぜわざわざ変えるのか、あまつさえ「たいした手間じゃないよ」などと言えるのか、私には理解できません。