思っていたのと利用法が違っていたVLBI

VLBIってのは電波望遠鏡の一種です。
電波望遠鏡ってのはよく写真でみるお皿のお化けですね。パラボラアンテナの親分みたいなやつです。絵を見たい方は野辺山観測所の45m望遠鏡の写真をどうぞ。かっこいいです。
VLBIってのはこの電波望遠鏡を二つ以上使ってもっと高精度の観測をしましょうというものです。漫然と二つの望遠鏡の結果を持ち寄っても何もわからないのですが、両者をピアノを調律するようにきっちりとあわせこんでやると、ものすごい精度で測定をすることが出来ます。
なんの精度が高いかというと、宇宙の電波源の位置を探る精度がものすごくなります。この精度を高めるにはなるべく遠くに望遠鏡を離した(基線を長く取る)ほうがいいので、複数の国が共同で複数の望遠鏡を作ります。VLBIは超長基線電波干渉計(Very Long Baseline Interferometory)の略です。

VLBI技術 (ウェーブサミット講座)

VLBI技術 (ウェーブサミット講座)

この本はVLBIの技術を詳細に説明したものです。興味本位で買った本ですが読んでびっくり。VLBIの応用として電波天文学じゃなくて地球物理学のほうに力点が置かれていました。
VLBIは三角法で電波源を測るので、逆に電波源の位置がわかっていれば三角形の底辺である基線の長さがわかります。これを利用して大陸の距離を測ってやろうってわけです。大陸の移動速度は年間数ミリから数センチですが、VLBIによる基線測定の誤差は1cmくらい(!!)なので、大陸の移動を直接測定できるのです。
へぇ〜へぇ〜へぇ〜へぇ〜へぇ〜へぇ〜へぇ〜(古)
もちろんこんなものが簡単に測れようはずもなく、地球自転によるドップラー効果、気圧、気温、湿度、重力と言ったものの影響を補正しなければなりません。おまけに人が作ったものですから寒けりゃ縮むし、風でも吹けばゆがみます。そもそも首振ったら受信部の位置が変わるやん!と技術屋としては思うわけです。
そういった困難を乗り越えて大陸間の動きが測定されているんだなと感心しました。
全編これ数式であふれていますが、無視。面白そうなところをつまみ読みしました。ちょっともったいない気もしますが、楽しめた一冊です。

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