昨日おこなったアンケートは、期待したほど有意な結果が出るとは思えなかったので途中で終了しました。しかし、id:yasaiさんがこの点について論評を試みています*1。そこで、私の見解も書いておくことにしました。
回答者数の推移
まず回答結果を見る前に回答者数の推移を見ました。このような中間的なデータを見ることができるのが公開集計されているアンケートの面白い点です。回答者数の推移は以下のとおり。
見づらいグラフですみません。横軸が年収、縦軸が回答数です。それぞれの系列は適当な時刻での回答者数を表します。当然、下に位置する系列が古く、一番上が最後の回答者数です。なお、600万円以下のアンケートのみ100人までデータが集まっています。
どうみる
2番目のグラフを見てみると次のような傾向が見られます。
- 1100万円以上から600万円までの間にゆるい右肩下がりの傾向が見られる
- 600万円以下の回答数が突出して多い
さて、これをもってどうみるかです。私はほとんど全部がポイント稼ぎの回答で埋められたと思っています。つまり、回答者の多くが問題には無関心で、すべての収入帯に対してポイント稼ぎの回答を入れています。特に、適当にブラウザのリロードを使って投票数の推移を見ていたときに、それぞれの投票数が歩調をあわせて仲良く増えていったのが印象的でした。同じ人が全部に投票していたわけです。
また、右肩下がりの傾向ですが、これは次のように質問を投稿したことと関連しています。
- 600~700
- 700~800
- 800~900
- 900~1000, 1000~1100, 1100< , <600
つまり増え方だけを見ると、リストの一番上にあるもっとも新しいもの(600万円以下)が一番激しく増え、リストの下のほうほど増え方が緩やかになります。ポイント稼ぎも途中で飽きると言うことなのでしょう。
また、最初のグラフを見ると、初期の回答者数が投稿からの経過時間と強い相関を持っているのですが、唯一の例外として600万円以下の収入帯が際立ちます。これについて以下の二種類の「ポイント・ゲッター」が居たと考えると、600万円以下の収入帯だけ突出して多い理由を説明できるように思えます。
- 質問内容はどうでもいいけど、さすがに全部からポイントをさらうのは気が引ける
- 全部もーらい
先に述べたように600万円以下の項目はリストの一番上にあるのですから、一番上だけもらっとこうと考えた人が集中的にこの項目に解凍したはずです。もっともこの推察は少々乱暴すぎると思いますが。
なお、これらの質問の直後に出された「小泉氏ね」というアンケートは即座に完了していました。つまり、お小遣いアンケートは「小泉氏ね」というネタほど面白いと受け取られなかったことになります。
反省
反省と言うか、いろいろ。
お小遣いの額を見るとき、「サラリーマンの年代で見るのはおかしいだろう」という長年の疑問をアンケートとしてぶつけてみました。しかし、データとしてとるときにもっと精度が高くないとだめだろうと言うことはわかっていました。
- サラリーマンの年収ではなく世帯収入が問題
- 一人で800万円稼ぐ家庭より、二人で1200万円稼ぐ家庭のほうが、可処分所得が多いはず。これは明らかに今回のアンケートの悪い点。
- 年収以外の因子
- 住宅ローンと子供の教育費を考慮に入れるべきか。今回はそれを入れるとデータが細分化されて統計的な有意さが失われると考えたため、考慮からはずした。
お小遣いの統計を取るとき、その目的によって考えるべき条件が異なります。単に「みんなどのくらいもらっているのか」であれば、世帯収入だけをパラメータとしてお小遣いの分布を得ればそれで十分です。その結果が、
- ふーん、やっぱり稼いでる家庭はお小遣いが多いよね
- へー、大して変わらないジャン。稼いでる家は支出も多いんだろうね
のどちらなのか、あるいはどの程度の偏りがでるのかに興味があるわけです。
一方、アンケートが「俺の小遣い少ないんじゃねーの」という不満解消のためのマーケティング・ツールだった場合は少し見方が別です。世帯収入から住宅ローンと子供の教育費を引いた額をパラメータにして小遣いの分布を調べるべきです。そうじゃないと、「だっていろいろ出費がかさむのよ」という大蔵大臣に「無駄な出費が多いんだよ!」と言う根拠になりませんから。
などということを、子供の居ない私は考えたりしてるわけですわ(笑)。
*1:yasaiさんは、その後年収の調査もされています http://www.hatena.ne.jp/1107063368