カッシーニ状況報告

カッシーニは38秒間の噴射によって土星接近への最終段階に入りました。この噴射はフェーベ・フライバイ時の誤差による軌道の乱れを調整するものです。カッシーニは30日夜(米国東部時間)に土星のF環とG環の間をすり抜け、96分間の逆噴射を開始します。逆噴射が終わる頃には土星周回軌道に入っています。
F環とG間はそれぞれボイジャーと地上観測によって発見された非常に細い環です。それまで知られていた一番外側のA環のさらに外側に位置します。リンク先の絵には土星の環が描かれています。この絵の中で環に見える目だって大きなすきまは、天文学者カッシーニによって発見され、「カッシーニの間隙」と呼ばれています。カッシーニの間隙の外側がA環で、A環はさらに小さなエンケの間隙によって二つに分かれています。F環とG間はA環のやや外側にあり、この絵にはかかれていません。
カッシーニは環の隙間に突入する前にパラボラ型の高利得アンテナを進行方向に向けます。これはアンテナを盾にして隙間にある小さな粒子によるダメージを防ぐためです。カッシーニは非常に高速で土星軌道に入るため、米粒程度の石でも大きなダメージを受けかねません。一方、大型の探査機に装甲板をつけるような贅沢は望めません。アンテナを盾に環の隙間を潜り抜けたあと、カッシーニは再度向きを変えて逆噴射を開始します。

/* -----codeの行番号----- */