情報操作

ワーム作成は「ママを助けるため」だった?
ひどい記事です。冒頭を読むと、

ドイツの少年がSasserを作成した動機は、母親が経営するコンピュータメンテナンス会社への注文を増やすことだった可能性もあるというのが当局の見方だ。(ロイター)

とあり、続いて

世界中に大混乱を巻き起こした破壊的なコンピュータワームの作者として逮捕されたドイツの少年は、母親が営む小規模企業「PC Help」の役に立ちたいと思っていたのかもしれない――。ドイツ警察は5月10日、こうした見解を明らかにした。

ときます。これを読むとまるでドイツ警察は「母親の役に立ちたい」と思ったことが重要な動機だと考えているかのように感じられますが、実は逆です。ドイツ警察のコメントはこれ。

「確かにありそうな話だ。だが、これまでの事情聴取ではそうした事実は出てきていない。とにかく、この少年は何年も前からコンピュータを扱っており、母親の会社はコンピュータのメンテナンスを扱っている」と同氏はReutersに語った。

つまり、ドイツ警察はそういう妄想について否定はしていないものの、事実としてそれを裏付ける証拠はないと言い切っています。結局、冒頭を注意深く読み取るとこれが理由だとも言い切ってないわけで、ここにきてようやくこの記事がコンピュータ記事ではなく、ただのワイドショー記事だとわかります。
ひどい話で、このニュースを流した側にはおもしろければ何でもいいという悪意が見えます。ワームを作ってばら撒くような奴はどんな目にあっても同情しませんが、だからといって周囲がでたらめをやっていいということではありません。気分の悪い話です。
それにしても、コンピュータニュースにこの手の「金になるなら母親だって売る」記事が流れるようになったとは。もうハイテク分野でもなんでもないんですね。

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