降着円盤イイッ!

id:v4641sgrさんのところに「降着円盤はなぜマイナーか」という考察があります(id:v4641sgr:20040427#p1)。ブラックホールという名前を知ったのは小学生のときに家にあった原色百科事典だと思います。「質量が大きくなりすぎると、物質の力では支えきれなくなり、星が崩壊して重力が無限大になる。ブラックホールには一度入ると出てこれない事象の地平と呼ばれる面があり、そこからは光すら出てくることは出来ない。シバルツシルトの壁とも呼ぶ」といった説明でした。あまりに理路整然としているのですらりと受け取った覚えがあります。不思議でもなんでもなかったなぁ。そのときの挿絵は本当に宇宙に黒い穴が開いている絵でした。
むしろそのあと、高校生の頃に「ブラックホールに物質が落ち込む過程で激しいX線放出が起きており、それを元にブラックホールを探すことが出来る」という日経サイエンス誌のほうがはるかに衝撃的でした。よく考えると小学生の頃からX線白鳥座X-1のブラックホール疑惑が新聞でも取り上げられていたはずであり、高校生の頃までそれに気がつかなかった馬鹿さ加減にわれながらあきれます。それはともかく、ブラックホールは光るのです。それ自身は光りませんが、周囲が光るのです。
降着円盤という概念を知ったのはもっとあとですが、多分これも日経サイエンスでしょう。ブラックホールに落ちてくる物質は運動量を保存したまま落ちてきますから、ブラックホールの周囲を激しく回転します。物質の初期軌道は傾斜角を持つ楕円のはずですが、互いに衝突する間にドーナツ状になって行きます。土星の輪のように薄くなるような気もするのですが、どうでしょう。とにかく、ブラックホールに落ちていく物質はブラックホールを周回する軌道を猛スピードで回るうちにばらばらにされていきながら激しくエネルギーを放出します。ちび黒サンボの虎が融けてバターになるように。
v4641sgrさんは、「ブラックホール」は日常的にも使われる言葉なのに、降着円盤はなぜマイナーなのかと苦悩されています。なぜでしょう。多分、降着円盤と聞いてもその激しい様を想像できないからではないでしょうか。すべてをふき飛ばす超新星爆発、何もかも吸い込むブラックホールに比べると降着円盤や双極ジェットはおとなしく感じるのでしょうね。本当は人智を超えた規模のものなんでしょうけど。
取り合えず降着円盤学会とかがあるなら、マスコットにはバターになる虎を採用して降着円盤の一般への普及を図っていただきたいものです。

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