New Bedford Whaling Museum

ボストンから南へ50マイル、かつての捕鯨基地New Bedfordに行ってきました。お目当ては4年前に訪れたとき改装中だった捕鯨博物館(Whaling Museum)です。写真は旧館ですがこの奥に棟続きの新館が建っています。前回、「来年夏に新館がオープンするの。割引券あげるから来てね」とチケットを渡されたのを覚えています。

新館は吹き抜けの二階建てで、天井に4年前組み立て中だったシロナガスクジラの骨が吊ってあります。今回説明はありませんでしたが、前回読んだ説明によれば、これはケープコッドに打ち上げられた死体を引き取って肉を落とし、鉄骨に串刺しにしたものです。ロンドンの自然史博物館でも度肝を抜かれましたが、この巨大な生物の骨は何度見ても圧倒されます。優美なあごの骨からかつて陸上を歩いたことを思わせる前肢、そしてもはや恥骨だけを残す退化しきった下半身。
頭から肋骨、下半身へと流れていく曲線はいくら見ていても飽きません。シロナガスクジラの横にはもう一体、小さな鯨の骨が吊ってあります。
二階ではマッコウクジラの骨を再現作業中でした。興味深かったのは作業のための寄付を募っており、骨ごとに額が違っていたことです。頭骨の寄付金がもっとも高く、$35000でこれはすでに寄付を受付済み。一番安かったのは指の骨で$175でした。ちょっと迷いましたが寄付はやめておきました*1
この博物館がすばらしいのは収集物を惜しげなく見せる懐の広さです。美術館に行っていつも不満に思うのは間を大事にしすぎることです。広い壁にぽつんと作品を飾るのは、純粋芸術なら理解できないでもありませんが、盗掘だの相手の貧乏につけ込んで*2買いあさってきた歴史的なものの展示を見るときには、「もっとみせろ」と欲求不満になります。一方で捕鯨博物館はというと、それはもう展示物と説明が所狭しと並べてあります。

*1:科学普及と祖国至上主義の間で結構悩んだりして

*2:あはは

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